タイトル | DMI剤耐性キュウリうどんこ病菌の遺伝子診断法 |
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担当機関 | 神奈川農技セ |
研究期間 | 2004~2007 |
研究担当者 |
久保深雪 植草秀敏 折原紀子 武田敏幸(全農) 北宜裕 野村研 |
発行年度 | 2007 |
要約 | DMI剤耐性キュウリうどんこ病菌のCYP51遺伝子(ステロール脱メチル化酵素遺伝子)には特異的な塩基置換変異があり、この変異を利用して設計したプライマーを用いれば、高度耐性菌をPCR法により検出できる。 |
キーワード | キュウリうどんこ病、DMI剤耐性菌、遺伝子診断法、CYP51遺伝子 |
背景・ねらい | 近年、キュウリ栽培においてDMI薬剤耐性のうどんこ病菌が出現し、防除効果が低下している。有効な防除を行うため、耐性菌発生状況を把握する必要があるが、絶対寄生菌であるため、薬剤耐性試験は繁雑で時間を要する。そこで、DMI剤の標的酵素であるCYP51遺伝子の薬剤耐性程度による塩基配列の違いを基にPCR法によるDMI剤耐性菌の簡易診断技術を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. DMI剤耐性菌のうち、高度耐性菌にはCYP51遺伝子に4箇所の塩基変異が存在する(表1)。 2. 防除の実用場面で問題となるのは、生物検定においてトリフルミゾールに対するRf値が500以上となる4塩基置換変異菌である(表1、2)。 3. 4箇所の塩基変異を基に設計したプライマーセット(耐性菌検出用のR1F:AAGTTCTTCGCCTCCACTGCとR2R:CAGCGATGTCTCCCTGCGATAのセット、感受性菌検出用のS2F:TCTTCGCCTCCACGGCCCAATとS2R:CAGCGATGTCTCCCTGCGTCAのセット、増幅産物は350bp)を用れば、高度耐性菌とそれ以外の菌をそれぞれ特異的に検出できる。 4. 単一病斑を含む直径5mmのリーフディスクからCTAB法により抽出した全DNAを用いて検定ができる(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. PCRの条件は、プライマーR1F-R2Rのセットでは、熱変性95℃4分、熱変性95℃30秒→アニーリング65℃30秒→伸長72℃30秒を35サイクル。プライマーS2F-S2Rのセットでは、熱変性95℃4分、熱変性95℃30秒→アニーリング67℃30秒→伸長72℃30秒を35サイクル、とする。 2. 本法は4箇所の塩基置換変異菌のみ検出可能であり、感受性型と1箇所の塩基置換変異型の菌は区別できない。 3. 同じ圃場で4塩基置換変異菌と1塩基置換変異菌が混在して存在するので、複数の検体を用いて圃場の耐性菌発生状況を検定する(表3)。 4. CYP51遺伝子に塩基置換変異のない耐性菌(上流域に挿入配列がある等)は低率で存在するが、いずれもトリフルミゾールに対するRf値は500より低い。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 病害虫 うどんこ病 簡易診断 きゅうり 耐性菌 防除 薬剤耐性 |