タイトル | 「越南208号」の生育特性と栽培法 |
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担当機関 | 福井農試 |
研究期間 | 2005~2007 |
研究担当者 |
笈田豊彦 佐藤陽子 田中豊実 土田政憲 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 「越南208号」は草丈は低いが、中後半の生育が旺盛である。植付株数19株/m2、基肥窒素0.6~0.7kg/a、穂肥窒素0.2kg/aの2回施用の栽培により、良食味で63kg/aの収量が期待される。 |
キーワード | 水稲、奨励品種、「越南208号」、施肥 |
背景・ねらい | コシヒカリと日本晴の中間熟期で、良食味なことなどから、新奨励品種候補として有望視している「越南208号」の現地普及のために、好適な栽培法を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「越南208号」の生育は、県内の他の品種に比べて、草丈が最も低く推移し、初期生育はやや緩慢だが葉色は濃い。日本晴よりは有効茎歩合が高い(図1)。 2. 総乾物重は、幼穂形成期以降は大きく推移するものの、総重に占める籾重の比率は同等なので、そのまま多収につながる。穂数がハナエチゼン並に多く、1稈当たりの稈+葉鞘重はコシヒカリをやや下回るが、その割に葉身部はイクヒカリ並に重い(図2)。 なお、根重は幼穂形成期以降イクヒカリを下回ってコシヒカリ並みとなり、T/R比は大きく推移する。 3. 多肥栽培で容易に増収するが、食味に配慮して玄米タンパク質含有率6.0%までを目標とすると(図3)、穂肥量は窒素0.2kg/aの2回施用が上限である(図4)。 4. その範囲内での最大収量のために、基肥量は、地力中庸な水田での全層施肥で窒素0.6~0.7kg、大きな乾土効果の見込まれる転作後などでは0.2~0.3kgとすれば、収量63kg/aが期待され、その際の収量構成要素の目安は、穂数430本/m2、一穂籾数74粒、登熟歩合90%、千粒重22gである。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 苗丈は短く、育苗期に低温だと葉色も淡くなりやすいので、育苗期の温度管理に注意する。 2. 晩生品種の作付けがほとんど無くなっているので、登熟期の用水の確保に留意する。またニカメイチュウの多発時には防除を徹底する。 3. 栽植株数は19株/m2で十分である。密植にすることで、葉色が淡く一穂の籾数が減って結果的に千粒重が増大する効果もあるが、地力が高すぎれば籾数過多になる。 4. 玄米外観品質も収量増大に伴い低下する傾向であるが、試験の範囲内ではいずれも達観で整粒率80%を確保し、急に落ち込むような分岐点も認められなかった。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 育苗 温度管理 水田 水稲 施肥 品種 防除 良食味 |