タイトル | 基白・背白粒発生軽減のための最高分げつ期までの「コシヒカリ」の生育指標 |
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担当機関 | 富山農技セ |
研究期間 | 2003~2007 |
研究担当者 |
川口祐男 山口琢也 守田和弘 北條綾乃 高橋渉(富山県庁) |
発行年度 | 2007 |
要約 | 出穂期以降の葉色を適正に維持し、基白粒や背白粒の発生を抑えるためには、最高分げつ期の葉色を葉色カラースケール値で4.1に誘導するとともに、移植後1か月目の茎数増加量を22本/m2/日以下にすることが重要である。 |
キーワード | 基白粒、背白粒、葉色、茎数増加量、コシヒカリ |
背景・ねらい | 基白・背白粒は出穂後の高温で発生が助長される一方で、登熟期間の稲体窒素栄養からも影響を受け、葉色値が低いほど多くなることが、近年の研究で明らかとなっている。これまでの結果より、登熟期間が高温で推移した場合、背白・基白粒の発生を抑えるための葉色カラースケールにおける適正な葉色値は、幼穂形成期で3.8(SPAD値34)、出穂期で4.5(SPAD値35)である(平成17、18年度 北陸・水田作畑作成果情報)ことが知られているが、それ以前の生育に関する報告はほとんど見られない。そのため、移植後1か月目と最高分げつ期、幼穂形成期の葉色や茎数の関係を解析し、品質向上のための生育指標を作成する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 移植後1か月目の1日当たりの茎数増加量(dT/dt、以下同様)と最高茎数には高い相関が認められ(図1)、dT/dtが大きくなると、最高分げつ期の葉色値が低くなる傾向がある(図2)。 2. 最高分げつ期の葉色はdT/dtと移植後1か月目から最高分げつ期の日射量により予測できる(式1、図3)。また、幼穂形成期の葉色は最高分げつ期の葉色により予測できる(式2、図3)。 3. 以上の結果から、登熟期間の葉色を維持し、背白・基白粒の発生を抑えるためには、日射量が平年並みと想定した場合、移植後1か月目の茎数増加量を22本/m2/日以下として過繁茂を避けるとともに、最高分げつ期の葉色を葉色カラースケールで4.1(SPAD値36)、とすることが重要である(式1、式2、表1)。このためには、密植を避けるとともに、有効茎確保後も極端に強い中干しを行わないように注意する。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 適用地域は北陸地域の砂質浅耕土地帯とする。 2. 大規模経営体等で4月下旬頃に移植し、登熟期間が高温となるコシヒカリ栽培に活用する。 3. 移植後1か月目の茎数増加量は移植後1か月目から5~10日間の1日当たりの平均増加量とする(移植後30日目に最初の調査を行い、2回目の調査を35~40日目のいずれかの日に行い、茎数の増加量を日数で除して算出する)。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
図表6 | ![]() |
カテゴリ | カラー 水田 大規模経営 |