水稲の地上部生育が根の生育に及ぼす影響

タイトル 水稲の地上部生育が根の生育に及ぼす影響
担当機関 福井農試
研究期間 2003~2007
研究担当者 徳堂裕康
山口泰弘
井上健一
北倉芳忠
発行年度 2007
要約 水稲の地上部生育において分げつ発生が旺盛な条件では、冠根数が多く根群が早く形成されるが、細い根が多くなって登熟期の活力は低下する。深水処理等で分げつ抑制を行っても根群への影響は小さいが、最高分げつ期の追肥は登熟期の根重維持に有効である。
背景・ねらい 近年の気温の上昇は、品質へ大きく影響する登熟期間だけでなく稲作期間全体にわたり、特に田植え後の高温、高日射条件は初期生育を向上させている。そこで、植付本数の違いや生育初期の深水管理、中間追肥により地上部生育を制御し、水稲根の生育や活力への影響を調査する。

成果の内容・特徴 1.
植付本数が多いと分げつ増加に比例して冠根数も増加する。冠根数の増加は出穂期頃まで続くが増加のピークは初期の分げつ発生が多いほど早く、冠根1本当り乾物重は小さくなり、細い根を中心に早期に根群が完成されることを示す(図1、2)。しかし、このような根群は登熟期間の茎1本当り出液量が少なく根の活力低下を示す(図3)。
2.
深水処理による茎数抑制を行うと、地上部では茎が太くなる等の変化が現れる(図4)が、地下部の変化は小さく、冠根数や根重、茎1本当り出液量に有意差は見られない(図5)。
3.
への字施肥により分げつ発生がピークを過ぎてから追肥すると、登熟期間まで根の乾物重を大きく維持する傾向が認められる(図6)。
4.
これらのことから、登熟期間に水稲根群の活力を維持するためには、初期分げつの抑制を深水のような強制的な方法でなく、植付本数を小さくするなどの方法で行い、根群をゆっくりと形成させ、最高分げつ期の施肥など生育中期以降の生育促進技術を組み合わせて根群を形成させることが有効と考えられる。

成果の活用面・留意点 1.
水稲の初期生育、特に茎数が過剰とならないよう植付本数や栽植密度を適正な範囲に抑えることで、根群の良好な発達と活力維持が図られる。
2.
生育期間中の温暖化を想定した試験であり、低温年次に植付本数が少ない場合は穂数や籾数の減少から収量が低下する可能性がある。
3.
水稲根群の発達を促進するには深耕による根域拡大やゼオライト施用による保肥力向上が有効であるが、生育初期の茎数が過大とならないように植付本数を少なくする必要がある。

図表1 218743-1.gif
図表2 218743-2.gif
図表3 218743-3.gif
図表4 218743-4.gif
図表5 218743-5.gif
図表6 218743-6.gif
カテゴリ くり 水稲 施肥 水管理

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