タイトル | 携帯型GPSによる農作業履歴の自動収集 |
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担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2007~2007 |
研究担当者 |
松尾和之 濱口秀生 渡邊和洋 金谷豊 渡邊好昭 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 携帯型GPSと自動起動電源ユニットを用いることで、農業機械の作業軌跡データの自動収集が可能である。また、農作業履歴記録支援ソフトウェアにより農業機械の軌跡データとポリゴン圃場図から農作業が実施された圃場を自動判定できる。 |
キーワード | 携帯型GPS、自動収集、作業軌跡、農作業履歴 |
背景・ねらい | 水田農業経営では、規模の拡大に伴う圃場数の増大、圃場の遠隔化や分散化、オペレータ雇用、作付作目の多様化などにより、農作業履歴の記録は経営者にとって大きな負担になっている。そこで、近年価格の低下と性能の向上がめざましい携帯型GPSをベースに、農業機械の作業軌跡データを自動収集するための改造を行うとともに、軌跡データから農作業の実施された圃場を判定するシステムの開発を行う。 |
成果の内容・特徴 | 1. 自動起動電源ユニットは、回路に12~24Vの電圧が加わると携帯型GPSの起動スイッチを押したのと同じ信号を発生させることができる。このユニットをトラクタやコンバインのアクセサリ電源やシガーライターソケットにつなぐと、運転にあわせて軌跡データの収集が自動的に始まり、オペレータによる操作を必要としない(図1)。また、1GBmicroSDカードを装着すると1秒間隔で200日程度の軌跡データの収集ができる。 2. トラクタやコンバインによる作業実施圃場の判定は、軌跡とポリゴン圃場図から軌跡が存在する圃場のリストを作成し、それらの圃場での作業実施の有無を判定するという手順で行う。圃場によっては、作業実績がないにもかかわらず圃場図やGPSの誤差によって軌跡が存在するというケースもあるが、A/T値(圃場面積(A 10a)を滞在時間(T min)で除した値)を判定尺度とすることで、実際に作業が行われた圃場だけを精度よく判定できる(図2、3)。なお、筑西市での小麦、大豆の播種と収穫作業(2経営、のべ圃場数693)での誤判定の割合は5%程度である。 3. 農作業履歴記録支援ソフトウェアは、GPSからパソコンへのデータの転送・変換、農作業実施圃場の自動判定、農作業履歴記録を行うプログラム等で構成される。農作業履歴記録では、実施圃場リスト(作業日、圃場番号、地番)は軌跡データから自動的に作成されるため、作物名、作業種類、作業機の種類等について選択入力する必要がある(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 自動起動電源ユニットの装着が可能な携帯型GPSは、G社製 eTrex-Vista CXもしくはHCX (英語、日本語版)に限られる。 2. 自動起動電源ユニットの製作とGPS本体の改造については、つくば市の民間会社で対応予定である。GPS本体の改造により、無償・有償を問わずG社の修理サービスは受けられなくなる。 3. 農作業履歴記録支援ソフトウェア(開発言語:Visual Basic 2005,.NET Framework上で動作)については、要望があれば試用版として配布可能である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 経営管理 小麦 GPS 水田 大豆 播種 |