タイトル |
牛乳房炎の治癒に影響する要因 |
担当機関 |
静岡畜研 |
研究期間 |
2007~2009 |
研究担当者 |
檀原麻実
小柳寿文
赤松裕久
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発行年度 |
2008 |
要約 |
乳房炎の治癒率は、薬剤感受性に基づき適切な治療薬を選択した場合、初発時においては原因菌による差がない。しかし、黄色ブドウ球菌による乳房炎では、再発した場合には治癒率が明らかに低下する。また、ブドウ球菌やレンサ球菌による乳房炎では、分娩から発症までの日数が短い方が治癒率は高い。
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キーワード |
乳用牛、乳房炎、黄色ブドウ球菌
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背景・ねらい |
牛乳房炎は、乳汁細菌検査の実施の有無や抗生物質の選択の違いから、治癒に影響する要因を特定するのが難しい。そこで、診断・治療法を一定化した農場において牛乳房炎の疫学調査を実施し、治癒に影響する要因を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 静岡県内の1酪農場において調査を実施する。当該農場では、乳房炎発生時に全例の原因菌同定と薬剤感受性検査を行う。治療は第一選択薬としてセファゾリン(CEZ)軟膏を乳房内に注入し、薬剤感受性が判明した後、その結果に基づいてCEZ注入の継続もしくは変更を決定する。
- 当該農場で、平成15~19年度に発生した臨床型乳房炎延べ413例を対象に調査する。原因菌を黄色ブドウ球菌(SA)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)、大腸菌群(Coli)、レンサ球菌(Str)等に分類し、菌種ごとに治癒率を調査する。また、菌種ごとに治癒(CMTが陰性になり、抗生物質残留陰性を確認して出荷再開したもの)群と非治癒(CMTが陰性にならず出荷再開できないため盲乳・廃用にしたもの)群に分け、群間の分離菌数、月齢、産次、乳量、分娩後日数、薬剤感受性を比較する。
- また、SA乳房炎については、治癒後1年以上再発しないものを「完治」、治療を試みたが治癒しないため、盲乳または廃用にしたものを「盲乳」とし、発症回数ごとに完治率を比較する。
- 全菌種とも治癒群と非治癒群の分離菌数、月齢、産次、乳量及び薬剤感受性に差はない。しかし、SA、CNS、Str乳房炎は分娩後日数(分娩から発症までの日数)が短い方が治癒率は高い (P 0.05)(表1)
- 初発のSA乳房炎の治癒率は82%で他の菌種と差がないが、再発したSA乳房炎の治癒率は30%と低く、他の菌種と比較しても低い(P 0.01) (図1)。
- SA乳房炎のうち、発症回数が1回の群は完治率が89%と高いが、2回では50%、4回では0%と低くなる(表2)
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成果の活用面・留意点 |
- 野外における乳房炎対策に活用する。
- SA乳房炎を一律に淘汰対象とするのではなく、初発の場合や分娩後日数が短い場合は治療を試みる等の防除指導に活用する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
出荷調整
治療法
乳牛
防除
薬剤
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