黒毛和種のPit-1 遺伝子多型が子牛市場体重に及ぼす影響

タイトル 黒毛和種のPit-1 遺伝子多型が子牛市場体重に及ぼす影響
担当機関 岐阜県畜研
研究期間 2004~2008
研究担当者 小林 直彦
傍島 英雄
松橋 珠子
山田 英信(全和協岐阜支部)
発行年度 2008
要約 黒毛和種繁殖雌牛のPit-1 遺伝子多型と哺育能力や発育性に関する育種価推定値に関連があるかを検討した。Pit-1 遺伝子型により黒毛和種の哺育能力や発育性に差があることが示唆された。
キーワード 黒毛和種、Pit-1 遺伝子、直接遺伝効果、母性遺伝効果
背景・ねらい ウシPit-1 遺伝子は下垂体特異的な転写因子であり、成長ホルモン、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン遺伝子の発現を制御しているといわれている。Pit-1 遺伝子多型は、乳牛のミルク生産性や肥育牛の枝肉形質に影響を与えていると報告されている。Pit-1 は第6エキソンに多型が見られ、1ヵ所の塩基置換により、(1178A/1178G)、Aアレル(1178A)とBアレル(1178G)が存在する。黒毛和種の哺乳能力や子牛時の初期発育能力の改良に資するために、岐阜県内の同一農場で飼養されている124頭の繁殖雌牛を用いて、Pit-1 遺伝子多型と黒毛和種の哺育能力や発育性の指標として、子牛市場体重の母性遺伝効果および直接遺伝効果の育種価推定値との関連について調査した。
成果の内容・特徴
  1. 黒毛和種繁殖雌牛124頭のPit-1 遺伝子型頻度は、AA型41頭(33.1%)、AB型62頭(50.0%)、BB型21頭(16.9%)であった。対立遺伝子頻度はAアレル0.58、Bアレル0.42で あった(表1)。
  2. 黒毛和種繁殖雌牛(124頭)の子牛市場体重における直接遺伝効果および母性遺伝効果 の育種価推定値において、Pit-1 遺伝子型間に有意差が認められた(表2,3)。
  3. Pit-1 遺伝子型により黒毛和種の哺育能力や発育性に差があることが示唆された。
成果の活用面・留意点
  1. 泌乳量に影響を与える遺伝子はPit-1 だけでなく、成長ホルモン、κ-カゼイン、DGA T1、成長ホルモンレセプター遺伝子等が報告されており、Pit-1 以外の遺伝子の効果や 遺伝子間相互作用についても留意する必要がある。
  2. 黒毛和種の泌乳能力を的確に反映する指標作りと泌乳能力に影響する遺伝子解析を継 続する必要がある。
図表1 218792-1.gif
図表2 218792-2.gif
図表3 218792-3.gif
図表4 218792-4.gif
カテゴリ 育種 乳牛 繁殖性改善

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