飼料へのパン屑混合割合による豚筋肉内脂肪含量のコントロール

タイトル 飼料へのパン屑混合割合による豚筋肉内脂肪含量のコントロール
担当機関 静岡畜技研中小研
研究期間 2005~2007
研究担当者 塩谷聡子
河原崎達雄
寺田 圭
大竹正剛
大津雪子
堀内 篤
発行年度 2008
要約 豚へのパン屑給与は筋肉内脂肪含量を増加させ、その筋肉内脂肪含量はパン屑の混合割合(リジン含量)によって変化する。また、パン屑混合飼料の給与は1日増体量が低下し、出荷日齢は遅れる傾向にあるが、飼料費の削減に有効である。
キーワード 豚、パン屑、筋肉内脂肪、リジン
背景・ねらい 特徴ある豚肉を生産することを目的として給与飼料を検討する。パン屑の多給によって筋肉内脂肪が増加すること、さらに、それは必須アミノ酸であるリジンの不足に由来することが分かってきた。しかし、一方でリジンが不足した飼料は発育に悪影響を及ぼすことも知られている。そこで本研究では、目的とするリジン含量になるようパン屑の混合割合を段階的に設定した飼料を豚に給与し、パン屑の混合割合が筋肉内脂肪含量および発育にどのように影響するのかを調査する。また、パン屑と飼料費との関係についても調査する。
成果の内容・特徴
  1. 品廃棄物であるパン屑の有効活用のため、パン屑(表1)を市販の肉豚肥育用配合飼料(CP:13.0%、TDN:76.0%)と混合することでリジン含量を調整した飼料を作成する。パン屑は、パン工場から排出された冷凍生地の余剰分で、加熱乾燥処理により、水分が10%以下となったものを用いる。リジン含量によりパン屑の混合割合を設定し、試験区はパン屑70%区(リジン:0.40%)、50%区(リジン: 0.50%)および20%区(リジン: 0.64%)の3区を設け、SPF交雑豚(WD)18頭を各区6頭ずつ配置(去勢:4頭、雌:2頭)し、肥育後期(約70~110kg)に給与する。本試験はパン屑の有効活用のため、3区ともすべてにパン屑を混合しているが、パン屑20%区はリジンの日本飼養標準の要求量を満たしている。その他の不足するリジン以外のアミノ酸、ビタミン・ミネラル類は添加剤で補う。110kg到達時点でと畜し胸最長筋を試験に供する。
  2. 1日増体量は、パン屑50%区(997g/day)がパン屑20%区(1179g/day)よりも有意に低く(P0.05)、パン屑70%区は1007g/dayであり、発育は低下する。出荷日齢は、パン屑50%区とパン屑70%区がパン屑20%区よりも遅れる傾向にある(表2)。
  3. 胸最長筋の筋肉内脂肪含量は、パン屑20%区は3.97%、パン屑50%区は5.19%、パン屑70%区は7.31%となり、パン屑70%区がパン屑20%区よりも有意に高く(P0.05)、パン屑の混合割合(リジン含量)によって変化する(図1)。
  4. 試験飼料のkg単価は、パン屑が20円、肉豚肥育用配合飼料が64円、パン屑20%区が57円、パン屑50%区が45円、パン屑70%区が37円であり、肥育豚1頭あたりの飼料費は、配合飼料のみで20,170円、20%区で19,287円、50%区で18,208円、70%区で17,317円と算出された。従って、発育が低下し飼料摂取量が増しても、パン屑給与により飼料費が削減できる(表3)。ただし、飼料費には添加剤の費用は含むが、飼料混合の労働賃金は含まない。
  5. 今回の結果から、 パン屑を給与することで筋肉内脂肪含量がコントロールでき、一方で発育に低下がみられるが、飼料費の削減には有効であることが示唆される。
成果の活用面・留意点
  1. パン屑の混合割合によって、筋肉内脂肪含量がどのように変わるかの目安となる。
  2. パン屑の価格はkgあたり20円で算出しているが、価格の変動により試料費も変わる。
図表1 218806-1.gif
図表2 218806-2.gif
図表3 218806-3.gif
図表4 218806-4.gif
カテゴリ 乾燥 出荷調整 肉牛

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