PCR-RFLP法を用いた名古屋種雄の遅羽性遺伝子型判定技術

タイトル PCR-RFLP法を用いた名古屋種雄の遅羽性遺伝子型判定技術
担当機関 愛知農総試
研究期間 2008~2012
研究担当者 近藤一
小林正直(麻布大)
神作宜男(麻布大)
中村明弘
野田賢治
発行年度 2008
要約 遅羽性の名古屋種雄には遅羽性(K)遺伝子のホモ接合体(K/K)とヘテロ接合体(K/k+)が存在するが、PCR-RFLP法を用いることでその遺伝子型を迅速かつ正確に判定できる。
キーワード 名古屋種、遅羽性、制限酵素断片長多型、PCR
背景・ねらい 遅羽性と速羽性を利用した初生雛の雌雄鑑別を行うためには遅羽性および速羽性に固定した2種類の系統を造成しなければならないが、遅羽性の雄にはK遺伝子のホモ接合体(K/K)とヘテロ接合体(K/k+)が存在し、それらは初生雛の表現型の違いによって区別できない。そのため、遅羽性系統を作出するには多くの時間と労力がかかる後代検定を行う必要がある。
白色レグホーンでは K および k+ 遺伝子近傍領域の制限酵素断片長多型(RFLP)によって雄の遅羽性遺伝子型(K/K と K/k+)を迅速かつ簡便に判定できることが報告されているが、名古屋種についてはその手法により判定ができない。
本研究は遅羽性の名古屋種雄においてK/KとK/k+の遺伝子型をDNAレベルで判定できる技術を開発して、遅羽性系統の造成の効率化を目指すものである。そこで、まず名古屋種の K および k+ 遺伝子近傍領域について塩基配列を明らかにし、次に得られた塩基配列の情報から新たなPCR-RFLP法の開発について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 名古屋種における K と k+ 遺伝子間の違いを調査するため、表1に示すプライマーGS-9とGS-23を用いて増幅したKおよび k+ 遺伝子近傍領域の1456bpについて塩基配列を決定すると、K と k+ には7ヶ所で多型が認められる(表2)。
  2. 名古屋種の k+ において292-295番目の位置に制限酵素MboIの認識配列(GATC)が存在するが、Kには存在しないことが確認される。
  3. 名古屋種雄(K/K、K/k+、k+/k+)のゲノムDNAと表1に示すプライマーGS-9とGS-10でPCRを行い、そのPCR産物をMboⅠ消化し、2%アガロースゲルで電気泳動すると、K/Kの名古屋種では348bpの位置に、K/k+では348と293bpの位置に、k+/k+では293bpの位置にDNAバンドが検出される(図1)。
  4. 孵化時の翼羽の形態が遅羽性を示す名古屋種雄にはK遺伝子のホモ接合体(K/K)とヘテロ接合体(K/k+)が存在するが、それらはMboⅠを用いたPCR-RFLP法によって迅速かつ正確に遺伝子型判定が行える。
成果の活用面・留意点
  1. 本技術を活用すれば、名古屋種の遅羽性の固定が簡便になり、遅羽性系統の造成が容易となる。
  2. 本技術の内容は名古屋種で明らかにされたものであるため、他の鶏種で活用する場合には、プライマーGS-9とGS-10で増幅されるDNA断片の塩基配列が名古屋種と異なることがあるので、事前に調査すべきである。
図表1 218814-1.jpg
図表2 218814-2.gif
図表3 218814-3.gif
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