カーネーション萎縮叢生症を誘発する土壌環境

タイトル カーネーション萎縮叢生症を誘発する土壌環境
担当機関 愛知農総試
研究期間 2004~2008
研究担当者 犬伏加恵
大石一史
発行年度 2008
要約 カーネーション萎縮叢生症では、栽培床の排水不良、有機物含量が高く低固相率・高液相率の土壌、土壌中の水分含量や肥料濃度の急激な変化が発症を助長する。
背景・ねらい 本症はシュートが萎縮し多数の側芽が叢生する症状を呈し、生育を著しく妨げる。原因は高温と土壌の過湿とされているが有効な対策技術がない。また、発症株の隣の株が正常であるなど発症ムラが大きい。そこで、高温と土壌の過湿だけでなく複合的要因を抽出するために、地域間、圃場間、ベンチ内の場所(栽培ネットの列ごと)の比較によって各要因の影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 多発地域と少発地域の比較
     どちらの地域も土壌の排水性は良好であるが、多発地域の方が有機物が多く、保水性・保肥性が高い土壌であり、三相分布では固相率が低く液相率が高い(データ略)。栽培床の構造(多発地域:低床定設ベンチ(図1)が多い、少発地域:地床が多い)に起因して、排水が十分ではないため、土壌中が高水分状態に維持されると推察される。
  2. 多発地域における圃場間の比較
     土壌の全炭素含量、灌水頻度、追肥の方法、生育状況を説明変数、発症程度を目的変数として重回帰分析(数量化Ⅰ類)を行った結果、全炭素含量が高いこと、灌水間隔が長いこと、高濃度肥料を低頻度で施用することが発症を助長する要因である(図2)。
  3. 多発圃場におけるベンチ内の場所の比較
     土壌水分に関わる要因を説明変数、発症程度を目的変数とした重回帰分析(数量化Ⅰ類)の結果、枠板とコンクリート床の隙間が狭い部分、灌水パイプのたわみの底の部分(灌水終了後もパイプ内の水が排出される場所)、灌水ノズルの設置間隔が狭い部分において発症が助長される(図3)。
  4. 以上の結果、栽培床の構造に起因して排水が不良であること、及び有機物含量が高く低固相率・高液相率の土壌であることが、発症を助長している。また、土壌中の水分含量や肥料濃度が急激に変化することも、発症を助長する重要な要因である。
成果の活用面・留意点 地域・生産者・温室ごとに環境条件や土壌条件は異なり、発症を助長する要因も異なる。各要因は他の要因に影響を及ぼしており、一要因を改善しても発症を軽減できるとは限らないため、総合的に取り組む必要がある。
図表1 218865-1.gif
図表2 218865-2.gif
図表3 218865-3.gif
カテゴリ 肥料 カーネーション 土壌環境 排水性

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