タイトル |
光反射資材と耕種的防除法を利用したコマツナの減農薬栽培技術 |
担当機関 |
埼玉農総研 |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
上田智子
岩崎泰史
太田友代
河野勉
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発行年度 |
2008 |
要約 |
パイプハウスのコマツナ栽培において、光反射資材を利用し、ポリエチレンシートでの土壌被覆などの耕種的防除法を併用することにより、アザミウマ類の被害を軽減することができる。
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キーワード |
光反射資材、耕種的防除、コマツナ、アザミウマ類
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背景・ねらい |
都市化が進み、農地と住宅地が混在する地域では、化学農薬による防除が非常に困難となっている。また、コマツナ等の軟弱野菜の栽培では近年、夏期を中心にアザミウマ類による被害が発生し、安定生産を阻害する大きな要因になっている。そこで、光反射資材と複数の耕種的防除技術を組み合わせ、減農薬を前提としたパイプハウス栽培におけるコマツナの虫害軽減効果と品質への影響を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 光反射資材(ポリエチレン長繊維不織布;白色)の設置(ハウス側面開口部展張・ハウス内通路敷設・ハウス外側面地表面敷設)によりハウス内の黄色粘着板によるアザミウマ類の捕獲数は減少し、コマツナの葉の白変、ひきつれ、シルバリングといった被害は軽減される(図1)。
- 資材設置の仕方の違いによるアザミウマ類の虫害軽減効果には大きな差はみられないが(図1)、通路敷設では、コマツナの葉身部が大きく、株重が多く、葉色がやや淡いなどの品質への悪影響がある(表1)。
- 光反射資材(側面開口部展張+側面地表面敷設)と耕種的防除法(アザミウマ類の発生源となる収穫残さ及び雑草の除去に加えて、土中の蛹を除去する目的で、各作期の間に厚さ0.05mmの透明ポリエチレンシートで土壌を被覆)を組み合わせると4月~8月播種のコマツナの栽培でアザミウマ類の誘殺総数や虫害発生は低減し、販売不可株は少なくなる(表2)。
- 光反射資材を地表面に約10か月連続展張すると、反射率は未使用資材と比較して約50%低下し、虫害軽減効果も低下する。また、資材を水洗いすることにより回復する反射率は10%程度である(データ省略)。
- アザミウマ類の被害がみられる春~夏の4作で比較すると、光反射資材と耕種的防除法を組み合わせた場合(上記3の方法)、慣行資材(目合い1.0mmのポリエチレン製ネット資材を側面開口部に展張)のみで栽培した場合と比べ、資材費及び労働時間が各々70,620円/a、5.8時間/a増加するが、可販率は、15~70%上昇する(表3)。
- 経営的には、減農薬栽培で販売することとなることから、5~9月の平均収量が135kg/a以上で、平均価格290円/kg以上が確保できれば採算ベースに乗る。
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成果の活用面・留意点 |
- 減農薬栽培を前提としたコマツナ栽培における虫害軽減対策の参考となる。
- 光反射資材の展張では、ハウス内に侵入したアザミウマ類による被害は防ぐことができない。
- 光反射資材を地表展張した時の資材の汚れによる反射率の低下は、雨水がたまることによる影響が大きいので、展張する地表に傾斜をつけたり、同様の素材で水がたまりにくい資材を利用することで反射率の低下を軽減できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
経営管理
こまつな
栽培技術
雑草
農薬
播種
防除
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