タイトル |
高糖度トマト生産が可能な無培地循環養液栽培システム |
担当機関 |
静岡農林研 |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
守谷栄樹(中部電力㈱)
大石直記
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発行年度 |
2008 |
要約 |
無培地循環栽培システムでは、遮根シートで隔離したトマトの根域にカルシウム、マグネシウム等の塩ストレス培養液を吸水シートで、その他の成分を含む基本培養液は点滴で給液することにより、培養液を再利用しながら高糖度トマト生産が可能である。
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キーワード |
高糖度トマト、養液栽培、無培地、塩ストレス
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背景・ねらい |
塩ストレスを付与するためカルシウム、マグネシウム等を増量添加した高濃度培養液を用いる高糖度トマトの根域制限式養液栽培(ポットシステム:点滴給液、ココヤシ繊維600 mL/株、掛け流し)では、栽培途中で培地や余剰排液に増量添加した成分が高濃度で蓄積し肥料バランスが崩れやすいため、継続的な培養液の循環・再利用が困難である。そこで適度な塩ストレスを付与できるとともに、煩雑な肥料成分の調節をしなくても培養液を循環・再利用できる無培地循環養液栽培システムを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 無培地循環養液栽培システムは、栽培ベッド中央部の給液樋から延びた2枚の吸水シートにより、遮根シートを袋状に加工した遮根ユニット(奥行き10cm×長さ90cm)の上下を挟み込む構造の毛管給液方式と遮根ユニットの上部に設置した点滴チューブによる点滴給液方式の2種類の独立した給液手段を有する(図1)。
- 塩ストレスを付与するための塩ストレス培養液(栽培開始時:カルシウム、マグネシウム等、EC2~6dS/m)は毛管給液方式により、その他の成分からなる基本培養液(窒素、リン、カリウム、微量要素等、EC1.8 dS/m)は点滴給液方式により給液する。遮根ユニットからの余剰排液は栽培ベッドの排水溝を流下し、排液タンクを通じて塩ストレス培養液タンクに回収され、塩ストレス培養液として循環・再利用する(図2)。
- トマトの定植は、3~4葉期前後のセル苗を栽培ベッドの両側に連設した遮根ユニットの開口部から挿入することによって行う(4株/遮根ユニット、株間22.5cm)。
- 基本培養液の給液は、硝酸態窒素供給量の上限を約3me/株・日としてトマトの生育段階に応じて調節する(図3)。ストレス培養液の給液は、給液樋への供給速度を約10 L/minとして、日中の給液時間帯に1時間おきで10分間ずつ給液する。
- 栽培中におけるストレス培養液の硝酸態窒素濃度は、基本培養液の流入により上昇するが収穫期後半に基本培養液の給液量を減少させることで栽培終了時までに硝酸態窒素を除去することができる(図3)。
- 塩ストレス培養液のECは2dS/mに調節することにより、培養液を捨てることなく慣行ポットシステムなみの果実糖度(Brix 9%以上)と収量が得られる(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- トマト株による吸水の少ない定植後約一ヶ月間は、過剰な基本培養液の流入により塩ストレス培養液量が増加するため、培養液タンクは充分な容量を確保する必要がある。
- 塩ストレス培養液のECは変動しやすいため、水希釈と塩ストレス成分の補給により定期的なEC調節が必要である。
- 本栽培システムの資材コストは約450万円/10aで慣行ポットシステムと同程度と試算され、肥料経費は約10万円/10a・作で慣行ポットシステムによる高糖度トマト生産の約半分に削減される。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
加工
コスト
栽培技術
トマト
養液栽培
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