タイトル |
冬春キュウリにおけるパイプハウスでの空気膜利用方法及び省エネルギー効果 |
担当機関 |
岐阜農技セ |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
勝山直樹
福田富幸
越川兼行
植野耕造(東罐興産(株))
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発行年度 |
2008 |
要約 |
冬春キュウリにおいて、施設の外張りまたは内張りを空気膜で被覆すると暖房用燃料は30%程度削減され、双方を被覆すると削減率は55%まで高まる。昼間のハウス内気温はやや上昇し、光線透過率はやや低下するが、収量や品質に影響は認められない。
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キーワード |
省エネルギー、空気膜、冬春キュウリ
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背景・ねらい |
近年の原油価格の高騰により、施設園芸農家の経営は圧迫され、施設園芸の省エネルギー化が求められている。そこで、野菜の中でも高温管理が必要とされるキュウリを対象に、空気の持つ断熱性を活かした被覆資材である空気膜を利用して、収量や品質は維持しつつ暖房用燃料の使用量が削減できる省エネルギー技術を確立する。また、空気膜を用いたハウス内の環境特性を解明し、その利用方法及び省エネルギー効果を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 暖房機の最低夜温を13℃に設定したキュウリの半促成作型において、外張りを連続送風する空気膜で被覆し、内張りに一重フィルムで被覆したパイプハウス(以後、「外張空気膜ハウス」と略記)は、外張り、内張りとも一重フィルムで被覆したハウス(以後、「対照ハウス」と略記)と比較すると、暖房用燃料を30%強削減できる(図1・a)。
- 内張りに空気膜を利用する場合、空気膜内への送風を夜間連続的に行うと暖房用燃料の削減効果はやや劣るので、送風方法は削減効果が30%弱まで高まる15分送風と30分停止の繰り返しの間欠方式とする(表1)。
- キュウリの半促成作型において、外張空気膜ハウスの内張りを間欠方式の空気膜で被覆し、内張りの妻面と側面にサニーコートを被覆する(以後「外張+内張空気膜ハウス」と略記)と暖房用燃料削減率は対照ハウスと比較して、55%まで高まる(図1・b)。
- 外張空気膜ハウスは、対照ハウスと比較して昼間のハウス内気温が高めに推移し、この傾向は低温期(1~3月)の方が高温期(4~6月)より顕著となる。光線透過率は対照ハウスと比較して10%程度低下する。また、外張+内張空気膜ハウスでは、暖房機の稼働時間が短縮されるため、夜間の相対湿度はやや高くなる(表2)。
- 外張空気膜ハウスや外張+内張空気膜ハウスでは、対照ハウスと比較して生育が促進される傾向があるものの、収量や品質の差は認められない(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 空気膜の導入コストは、初期コストとして外張りの場合650千円/10a程度必要で、費用対効果を計算すると3年程度被覆資材等を連用することが必要である。内張りについては、今回供試した資材は試作品である。
- 燃料削減効果は設定する最低夜温によって異なる可能性があるので留意する。
- 作物の生育や収量、品質への影響については、品種「ハイグリーン21」を用いた抑制及び半促成作型キュウリでの試験から得られた結果である。
- 空気膜ハウスは、夜間湿度がやや高く病害の発生が懸念されるので留意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
きゅうり
経営管理
コスト
施設園芸
省エネ・低コスト化
品種
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