三重県における水田畦畔から侵入するイネ科多年生雑草の分布の特徴

タイトル 三重県における水田畦畔から侵入するイネ科多年生雑草の分布の特徴
担当機関 三重農研
研究期間 2006~2008
研究担当者 神田幸英
川上拓
中山幸則
山川智大
発行年度 2008
要約 低水温浸種による発芽率の低下は種子の貯蔵期間に関わらず起こりえ、前年産でも発芽不良が発生する危険性の高い種子がある。発芽率には浸種直後2~24時間の水温が強く影響し、短時間の低水温浸種によって発芽率は低下する。
キーワード 水稲種子、低水温浸種、発芽率低下、低下要因
背景・ねらい 水田に発生するイネ科多年生雑草は11種が確認されている。これらは草種によって発生生態や除草剤感受性の違いによる防除方法が異なるにもかかわらず、農家では「匍匐性の雑草」として同一視されることが多い。三重県では2001~2002年に水田雑草の分布調査を実施しイネ科多年生雑草についても合わせて調査した(2002年度関東東海北陸農業研究成果情報)が、この調査では水田内の雑草を主に観察したためイネ科多年生雑草の調査精度が低かった。そこで、改めて68地域の734畦畔について発生草種と発生量の調査を行い、水田畦畔のイネ科多年生雑草の分布を把握する。
成果の内容・特徴
  1. 三重県内の水田、水田畦畔で確認される主なイネ科多年生雑草は、キシュウスズメノヒエ、サヤヌカグサ、アシカキ、チゴザサ、ギョウギシバで、ハイコヌカグサも散見される。また、ムツオレグサ、ドジョウツナギもわずかに確認される(表1)。
  2. 水田雑草として問題性の大きいキシュウスズメノヒエ、サヤヌカグサ、アシカキの分布には違いがみられ、キシュウスズメノヒエの多発地域は海岸付近の平野部に集中し、標高が高くなるにつれて発生量は少なくなる傾向を示す。また、内陸の盆地地形である伊賀地域ではキシュウスズメノヒエは確認されない(図1、2)。
  3. サヤヌカグサは伊賀地域に多くみられる。伊勢(北、中南勢)地域の中山間でも散見されるが、標高の低い平野部では発生は少ない(図1)。
  4. アシカキは伊賀地域の39%の畦畔で確認され他の地域よりやや多いものの、調査地域の全域において標高に関係なく分布している(表1、図1)。
成果の活用面・留意点
  1. イネ科多年生雑草の防除方法は草種によって異なるため、分布の特徴を把握することにより効率的な防除指導ができる。
  2. キシュウスズメノヒエはシハロホップブチル剤を散布することで容易に防除可能であり、今回の調査で明らかとなった海岸部付近の甚大な発生となっている水田での防除に活用できる。
  3. アシカキはベンゾビシクロン、ピラクロニルを含有する水稲用除草剤を用いることで完全ではないが抑草が可能である(2007年度関東東海北陸農業研究成果情報)。
図表1 218924-1.gif
図表2 218924-2.jpg
図表3 218924-3.gif
カテゴリ 病害虫 雑草 除草剤 水田 水稲 中山間地域 発芽不良 ひえ 防除

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