食用米生産のためのメタン発酵消化液の効果的な基肥利用

タイトル 食用米生産のためのメタン発酵消化液の効果的な基肥利用
担当機関 栃木農試
研究期間 2006~2008
研究担当者 上岡啓之
発行年度 2008
要約 牛ふん尿由来のメタン発酵消化液は、化学肥料と同量のアンモニウム態窒素を含む量を施用することにより、食用米生産の基肥利用として、化学肥料代替で利用することができる。また、肥料効率の面から、施肥は代かき直前または代かき後実施するのが望ましい。
キーワード メタン発酵消化液、水稲、基肥、アンモニウム態窒素
背景・ねらい メタン発酵によるエネルギー回収の技術開発の中では、メタン発酵消化液(以下消化液)の処理方法が課題である。牛ふん尿由来の消化液は、アンモニウム態窒素濃度およびカリウム濃度が高いので、液肥としての利用がされている。そこで、食用米生産の基肥利用法を施用量および施用時期の面から明らかし、畜産地域に隣接する水田での消化液利用を促進する。
成果の内容・特徴
  1. 用いた消化液(岩手県葛巻町)は、アンモニウム態窒素が928mg/L、カリウムが1896mg/LでpHが8.4である(表1)。この消化液に施肥基準量相当の液状リン酸を添加してリン酸を補うとともにpHを低下させて(pH6.8程度)アンモニアの揮散を抑える。
  2. 代かき、落水後に化学肥料と同量のアンモニウム態窒素を含む消化液を施用して再代かきすることにより、化学肥料と同等の生育ならびに同等の玄米収量が得られる(表2)。また、消化液を1.3倍施用すると、無効分げつの増加、玄米窒素含有率の増加、倒伏の危険性が高くなる傾向がある。
  3. 消化液を代かきの2日前に施用すると、代かき後施用と同等の生育および収量であるが、代かき9日前施用では、生育量および収量はやや減少する(表3)。肥料効率の面から、代かき前に施用する場合、代かき直前の施肥が望ましい。
  4. 水稲栽培期間中の田面水の硝酸態窒素濃度は、代かき9日前施用で高くなる(図1)。このことから、生育量および収量の減少は、アンモニウム態窒素の硝化ならびに引き続く脱窒による影響と考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 消化液の養分含有率は、バイオガスプラントの工程やメタン発酵に使用する資材の違いによって変化する。
  2. 本研究に用いた消化液は、本県に2008年に竣工したバイオガスプラントと同様に、主原料として固液分離した牛ふん尿の液分を使用してできたものであり、両者の性質および成分は類似している。
図表1 218928-1.gif
図表2 218928-2.gif
図表3 218928-3.gif
図表4 218928-4.gif
カテゴリ 肥料 水田 水稲 施肥 メタン発酵消化液

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