タイトル |
抑制栽培ピーマンにおけるサバクツヤコバチによるタバココナジラミの防除 |
担当機関 |
茨城農総セ |
研究期間 |
2007~2009 |
研究担当者 |
鹿島哲郎
星野真酉
冨田恭範
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発行年度 |
2008 |
要約 |
抑制栽培ピーマンにおいて、サバクツヤコバチを定植2~3週間後から1週間間隔で3回程度放飼することにより、タバココナジラミの密度を抑制できる。
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キーワード |
ピーマン、タバココナジラミ、サバクツヤコバチ、天敵
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背景・ねらい |
茨城県における施設栽培ピーマン(7月中~下旬定植、12月上旬終了)で、タバココナジラミ(バイオタイプQ)による被害が増加している。アザミウマ類防除のためにタイリクヒメハナカメムシなどの天敵を用いている生産部会では、天敵サバクツヤコバチによるタバココナジラミの防除に取り組んでいるが、十分な防除効果が得られていない。そこで、生産者には見極めの難しい放飼適期を明らかにし、現地圃場において期適放飼による防除効果を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 調査した生産部会では、定植28日以降にサバクツヤコバチを放飼する生産者が56名中38名いた(表1)。
- 抑制栽培ピーマンにおいて、定植時にはすでにハウス周辺でタバココナジラミが発生している。1mm目合いの防虫ネットでは成虫がハウス内に侵入し、定植の約1か月後から増加する(図1)ことから、放飼時期の遅れがタバココナジラミの密度を抑制できなかった原因の一つであると推察される。
- 抑制栽培ピーマンのハウス内では、定植の2~3週間後にタバココナジラミの2~3齢幼虫が出現する(図2)。サバクツヤコバチはこれらの齢期を産卵対象とすることから、放飼適期は定植2~3週間後からである。
- 抑制栽培ピーマンにおいて、サバクツヤコバチを定植3週間後から10a当たり3000頭ずつ1週間間隔で3回放飼することにより、第1回放飼の約3週間後からサバクツヤコバチマミーの発生が確認され、タバココナジラミが減少して実害のない密度に抑制することができる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本試験結果は、現地の鉄骨ハウスを用いた抑制栽培ピーマンにおける結果である。害虫の発生は、作型や立地条件等により変わるため、事前にタバココナジラミの発生消長調査を行う。
- タバココナジラミ成虫の初期発生を抑えるため、ハウス内およびハウス周辺の除草を徹底する。また、ハウス開口部には防虫ネットを展張する。
- タバココナジラミの寄生していない、健全な苗を定植する。また、栽培終了後の残さは、十分に枯らしてからハウス外に持ち出す。
- サバクツヤコバチ成虫の生存日数は10日間程度と短く、1日の産卵数が少ないことから、1回の放飼では定着しない可能性がある。
- サバクツヤコバチは農薬散布の影響を受けやすいため、原則として殺虫剤は使用しない。やむを得ず使用する場合は、サバクツヤコバチに対して影響の小さいものを選択し、その影響日数が十分経過することを確認したうえでサバクツヤコバチを放飼する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
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栽培技術
施設栽培
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タバココナジラミ
農薬
ピーマン
防除
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