タイトル |
キュウリ抑制栽培における褐斑病の効果的な薬剤防除体系 |
担当機関 |
茨城農総セ園研 |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
小河原孝司
宮本拓也
冨田恭範
小堀智史
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発行年度 |
2008 |
要約 |
茨城県のキュウリ抑制栽培で多発生する褐斑病に対し、重要防除時期、薬剤の防除効果とその効果持続期間に基づいて構築した防除体系は、高い防除効果と収量の向上が図られる。
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キーワード |
キュウリ褐斑病、抑制栽培、防除体系、重要防除時期、効果持続期間
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背景・ねらい |
近年、茨城県のキュウリ抑制栽培(定植:7月下旬~8月上旬、収穫終了:10月下旬~11月下旬)において、品種の変遷や各種薬剤に対する耐性菌の発生等により、褐斑病が栽培早期から多発生し、収量低下や品質低下が問題となっている。そこで、本病の重要防除時期ならびに有効薬剤とその効果持続期間に基づく効果の高い防除体系を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 8月中下旬の発生初期を最重要防除時期、病勢が急性進展する8月下旬~10月中旬を重要防除時期とし、前者では初発確認後直ちに防除効果の高い薬剤(表1:Aグループ薬剤)を散布する。後者では、同様に防除効果の高い薬剤をそれぞれの薬剤の効果持続期間に応じて7~10日間隔で散布する(表1:Aグループ薬剤)。10月下旬以降は、農薬登録上の使用回数に基づき、効果の高い薬剤および効果が認められる薬剤を効果持続期間に応じて散布する(表1:AおよびBグループ薬剤)。ただし、耐性菌の発生を回避するため、同系統薬剤は連続して散布しない。
- この防除体系(表1)は、農家慣行の防除体系に比べ、褐斑病の防除効果が高く、栽培終了時まで発病度を低く抑えることが可能で(図1:所内試験、図2:茨城県かすみがうら市現地圃場試験)、収量も向上する(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 発病初期の防除は、圃場内を注意深く観察し、病斑が数個程度認められた時点で実施する。
- 茨城県内で発生している褐斑病菌には、アゾキシストロビン20水和剤、クレソキシムメチル水和剤及びボスカリド水和剤に対する耐性菌の比率が高いことから、褐斑病防除を目的とした使用を避ける。また、ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤、ジエトフェンカルブ・プロシミドン水和剤に対する耐性褐斑病菌が低率であるが確認されていることから、これら薬剤の連続散布は行わない。
- 本体系は、うどんこ病及びべと病等に対する防除効果は低いため、これらの病害が問題となる場合には、適宜、追加防除を実施する。
- 茨城県内での褐斑病の発生状況は、2006年が中発生、2007年が多発生であり、図2に示した現地試験での本防除体系の効果は高いと考えられる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
うどんこ病
きゅうり
栽培技術
耐性菌
農薬
品種
防除
薬剤
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