タイトル |
Pythium spinosum および P. sylvaticum によるイチゴピシウム根腐病の発生(病原菌追加) |
担当機関 |
栃木農試 |
研究期間 |
2007~2007 |
研究担当者 |
中山喜一
景山幸二(岐大)
渡辺秀樹(岐阜農技セ)
福田充
石川成寿
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発行年度 |
2008 |
要約 |
栃木県の土耕栽培イチゴで新たに発生した立枯性の土壌病害は、 Pythium spinosum および P.sylvaticum によるイチゴピシウム根腐病(病原菌追加)で、下位の葉柄が小豆色に変色し、罹病株の根は黒色~暗褐色水浸状に腐敗し、生育停滞や萎凋枯死する。
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キーワード |
イチゴ、ピシウム根腐病、土壌病害、新病害(病原菌追加)
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背景・ねらい |
2007年5月に栃木県那須塩原市のイチゴ四季成り性品種「とちひとみ」栽培ほ場で、原因不明の根腐れ症状を呈し、生育停滞や萎凋枯死株が発生した。そこで、発生した病害を明らかにし、今後の防除対策の資とする。
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成果の内容・特徴 |
- 2007年5月に那須塩原市の土耕栽培イチゴ「とちひとみ」で発生した病害は、下位の葉柄が小豆色に変色し、生育停滞や萎凋枯死する。罹病株の根は黒色~暗褐色水浸状に腐敗し、クラウンにも病徴の進展が認められる(図1)。根の病斑部からは2種類の Pythium 属菌が高率に分離される。
- それぞれの分離菌汚染土壌にイチゴ品種「とちひとみ」、「とちおとめ」を移植すると、原病徴が再現され、接種菌が再分離される。(表2)。
- 分離菌の形態的特徴(表1)および生育温度特性(図2)は、 Pythium spinosum および P.sylvaticum記載とほぼ一致する。rDNA ITS領域の塩基配列もこれら2種との相同性が高い(データ略)。これらのことから、発生した土壌病害はイチゴピシウム根腐病(病原菌追加)である。
- Pythium spinosum は、3~35℃で菌糸生育が認められ、最適温度は30℃である。また、P.sylvaticumは、5~35℃で菌糸生育が認められ、最適温度は28℃である。2種のPythium属菌とも中温性の菌である(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- イチゴに病害を引き起こす Pythium 属菌には高温性である Pythium helicoides が報告されているが、 P.spinosum および P.sylvaticum は中温性の菌であり区別できる。
- 過湿条件で発生が助長するため、排水対策を万全にするなどして本病による被害に注意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
いちご
根腐病
品種
防除
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