集落ぐるみのサル追い払いによる農作物被害軽減効果

タイトル 集落ぐるみのサル追い払いによる農作物被害軽減効果
担当機関 三重農研
研究期間 2007~2009
研究担当者 山端直人
糀谷 斉
発行年度 2008
要約 集落の合意形成により、全戸が集落を1つの農地と意識した「集落ぐるみでの追い払い」が進展することで、サルの目撃回数や人慣れ程度は改善し、農作物の被害は軽減できる。
キーワード 獣害、サル、集落ぐるみ、追い払い
背景・ねらい サルによる農作物被害を防ぐには、一部の農家のみではなく、集落の全戸が集落を1つの農地と意識し、全戸が集落を守る追い払い方法(以下、「集落ぐるみの追い払い」)が有効であると言われている。しかし、多くの場合は個々による追い払いにとどまり、集落の被害を軽減できた例は少ないことから、その効果を実際に検証することが必要である。 そこで、サルの農作物被害が多発する5集落で、取組前後の被害対策の指標と農作物被害の指標を計測することで、「集落ぐるみの追い払い」の効果を検証する。
成果の内容・特徴
  1. 実証を行なう全集落でサルの追い払いは実施されているが、その行動は個々が自己の農地のみを守る追い払い方法であり、「集落ぐるみの追い払い」は実施されていない(表1)。
  2. 各集落で被害対策研修会等を通じ、表2に示す項目について合意形成を進め、「集落ぐるみの追い払い」を実施する。
  3. 実施前後でサルの目撃回数、追い払いへの参加戸数、タイミング、群れの人慣れ程度、被害戸数、被害カ所数等を調査し(表3)、進捗度の指標として (1)「対目撃追い払い率」、(2)「予防的追い払い率」、(3)「農家参加率」を算出する。また被害程度の指標として「被害指数」を算出し、軽減効果を検証する(図1、算出方法は注4を参照)。
  4. 集落A~Dでは、「予防的追い払い率」、「農家参加率」、「対目撃追い払い率」がそれぞれ向上している。また、総目撃回数が減少し群れの人慣れ程度にも改善が見られ、結果として、被害カ所数、被害指数ともに実施前より減少している(図1、表3)。
  5. 集落Eでは少数の意欲ある住民の個人的な追い払いにとどまったため、「予防的追い払い率」は向上したものの、「対目撃追い払い率」、「農家参加率」はともに向上していない。また、群れの人慣れ程度や目撃回数にも変化は見られず、「被害指数」は減少していな(図1、表3)。
  6. 「集落ぐるみの追い払い」の進捗を示す指標として、「農家参加率」「予防的追い払い率」「対目撃追い払い率」が向上することで、サルによる農作物被害が軽減される。
     なお、今回の例では、集落Bで最も軽減効果が高く、被害指数は実施前の247から約15%の36に低減している。
成果の活用面・留意点
  1. この結果は、集落でのサルによる農作物被害防除対策の参考として活用できる。
  2. 今回示すデータは調査を行った5集落のものであり、追い払いによる被害防除効果の指標作成には、今後更なる集落調査を重ねる必要がある。
図表1 218948-1.gif
図表2 218948-2.gif
図表3 218948-3.gif
図表4 218948-4.gif
カテゴリ 病害虫 防除

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