タイトル |
茨城県で発生するメロンつる割病菌のマルチプレックスPCRを用いた検出法 |
担当機関 |
茨城農総セ園研 |
研究期間 |
2003~2007 |
研究担当者 |
宮本拓也
半田智一
小河原孝司
金子賢一
薄史暁
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発行年度 |
2008 |
要約 |
茨城県で発生するメロンつる割病菌は特異的プライマーを用いたマルチプレックスPCRによって約2週間で検出が可能である。
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キーワード |
メロン、つる割病菌、検出法、特異的プライマー
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背景・ねらい |
メロンつる割病は病徴の診断からのみでは他の土壌病害等との区別が困難な場合が多く、そのような場合は罹病植物からの菌の分離および病原性の確認が必要となる。しかし病原性の確認にはメロン植物体を用いた接種試験が必要であり、診断が完了するまでに約1ヶ月の長期間を必要とする。そこで、茨城県で発生するメロンつる割病菌(レース1,レース1,2yおよびレース1,2w)について短期間での診断を可能とするPCRによる検出法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- rDNAのIGS領域の塩基配列データをもとに設計したプライマー12W-F2と12W-R3(表1)のセットを用いると、レース1,2wから約450bpのPCR産物を特異的に増幅できる(図1)。
- 1と同様に設計したプライマーの112Y-F15と112Y-R1(表1)のセットを用いると、本県で発生するレース1およびレース1,2yから約600bpのPCR産物を特異的に増幅できる(図1)。
- 12W-F2、12W-R3、112Y-F15および112Y-R1(表1)を用いたマルチプレックスPCRにより、レース1,2wおよびレース1またはレース1,2yに特異的なPCRを増幅でき、一回のPCRで検出を完了できる(図1)。
- 診断依頼を受けたメロン株の維管束褐変部位より得られた F. oxysporum 37菌株(2007年27菌株、2008年10菌株)からは、マルチプレックスPCRにより、接種試験の結果と一致する増幅バンドが認められる。
- 判別品種の栽培管理等を必要としないため約2週間で診断が可能となり、また1検体あたりのコストを接種診断と比較して約1/5に削減できる(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本プライマーを用いたPCRによる検出法は、茨城県で発生するメロンつる割病菌のみ適用できる。
- 診断依頼を受けた罹病茎は、メロンつる割病の病徴である維菅束褐変の有無を確認したのち、本検出法に供する。
- メロンから分離される非病原性 F. oxysporum に対し、PCR産物の増幅は認められない(図1)。
- 112Y-F15と112Y-R1を組み合わせたPCRでは、レース1とレース1,2yを区別できない。
- 本PCRに用いている菌株については、F. oxysporum に特異的なプライマーによる増幅を確認している。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
コスト
栽培技術
品種
メロン
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