タイトル |
水生植物「ヒシ」の牛ふん堆肥混合による高速堆肥化 |
担当機関 |
石川農総研 |
研究期間 |
2008~2008 |
研究担当者 |
梅本英之
宇野史生
北田敬宇
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発行年度 |
2008 |
要約 |
水生植物「ヒシ」を水分率60%に調整後、牛ふん堆肥と混合・腐熟すると、1ヶ月で良質な堆肥になる。
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キーワード |
水生植物、ヒシ、牛ふん堆肥、高速堆肥化
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背景・ねらい |
閉鎖性水域における水質浄化対策の一手法として、水生植物に富栄養化物質を十分吸収させ、堆肥化して農耕地に還元利用するというプロセスが考えられる。水生植物を堆肥化利用する場合、含有成分が不明であるとともに、高水分、堆肥化期間等が問題となる。そこで、地場の在来種である「ヒシ」を対象とし、堆肥化利用方法を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 収穫時(8月中旬)における「ヒシ」の繁茂状況は旺盛で、農業排水路の優占種である(図1)。
- 「ヒシ」に含まれる肥料3要素の含有量はN:2.8%、P2O5:1.1%、K2O:1.9%で、植物質資材としては比較的高成分である。また、微量要素(Fe、Mn)を含むことから、「ヒシ」は堆肥原料として有用である(表1)。
- 高速堆肥化の方法は、次のとおりである(図2)。まず「ヒシ」を収穫後、堆肥舎で乾燥し水分率を約60%に調整する。次に通気性のあるメッシュ容器に、「ヒシ」と牛ふん堆肥を1:5(w:w)の比率で積層状に充てんする。その後、防虫ネットで被覆し、腐熟する。尚、途中の切り返しは不要である。
- 「ヒシ」と牛ふん堆肥を重量比で1:5(体積比で1:2、C/N16.9)の割合で混合・腐熟すると、1ヶ月でC/N比が16.9から13.7(TC:33.5%、TN:2.44%)に低下するとともに抽出性炭素5600~6000ppm(指標値12500ppm以下、平成17年度関東東海北陸農業研究成果情報 北陸・生産環境部会 10)、黒褐色(土色帳で10YR2/2~10YR2/1)を呈し、高窒素の良質な堆肥となる(図3、図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本試験での堆肥化期間は、8月中旬~12月中旬である。
- 水分過剰を避けるため、「ヒシ」の水分量を60%に調整する。本試験では、乾燥の際8月中旬の晴天下で2昼夜を要した。
- 腐熟促進のための接種源及び通気性改善を図るための副資材として牛ふん堆肥以外の堆肥も利用できる。
- 重金属含有量は特殊肥料の基準値をクリアしているが(表1)、原料「ヒシ」の採取は、重金属汚染の恐れのない水域に限る。
- 水質浄化・堆肥化利用に際し、在来種である「ヒシ」は外来生物に係る問題がない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
肥料
乾燥
ひし
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