ナス青枯病抵抗性に関するDNA多型のSTS化プライマーの作成法

タイトル ナス青枯病抵抗性に関するDNA多型のSTS化プライマーの作成法
担当機関 大阪農技セ
研究期間 1996~2001
研究担当者 古川一(大阪府大)
古川真
谷本秀夫
発行年度 2001
要約 ナス青枯病抵抗性の「DMP」の培養変異体を用いて、シークエンスゲルを用いたDIG-RAPD法により抵抗性に関する多型バンドを検出する。アガロースゲルによる電気泳動で安定的に遺伝子診断ができるように、STS化プライマーを作成する。
キーワード ナス青枯病抵抗性、DIG-RAPD法、遺伝子診断、STS化プライマー
背景・ねらい 水ナス栽培では、ナス青枯病が多発し、安定生産上の大きな問題となっており、水ナスに抵抗性を付与することが切望されている。そこで、青枯病抵抗性育種に活用するために、DNA多型を利用した遺伝子診断技術を開発する。DMP(Dingaras Multiple Purple)の培養変異による抵抗性低下系統を用いて、抵抗性に関する多型バンドを検出し、安定した遺伝子診断に利用できるSTS化プライマーを作成する。
成果の内容・特徴
  1. DMPの胚軸・子葉・本葉からの再分化植物体の自殖後代系統を作成する。再分化培養は、IAA 0.1mg/L(胚軸)、IAA 0.1mg/L+Kin 2.0mg/L(子葉)、IAA 0.2mg/L+Kin 5.0mg/L(本葉)を添加したMS培地で行う。
  2. 再分化植物体の後代系統から、青枯病抵抗性に関する生物検定法により抵抗性が低下した系統を選抜する。青枯病菌の接種は、菌濃度約1×108 個/mlの菌液中で断根接種により行い、接種1ヶ月後の萎れ程度により抵抗性の強弱の判定を行う。
  3. DMPと抵抗性低下系統からCTAB法によりDNAを抽出し、5’末端をDIG修飾したプライマーを用いて95℃5分、(95℃・1分、36℃・1分30秒、72℃・2分)×45サイクル、72℃5分のPCRを行う。シークエンスゲル(長さ37cm、厚さ0.35mm)を用いてPCR産物の電気泳動を行った後、ゲルからナイロンメンブレンフィルター(Hybond N+)へ転写し、DIG染色法により泳動像の検出を行う。
  4. DMPと抵抗性低下系統の間で、青枯病抵抗性に関する多型バンドを検出する(図1、表1)。
  5. TAクローニングキット(Invitrogen社)を用いて多型バンドのクローニングを行ってシークエンサーで塩基配列を決定し、それを元にSTS化プライマーを作成する。
  6. STS化プライマーを用いて95℃・1分、50℃・1分30秒、72℃・2分×45サイクルのPCRを行い、PCR産物をアガロースゲルで電気泳動し、紫外線照射による検出を行うことによって、目的の多型バンドを検出する(図2)。

成果の活用面・留意点
  1. STS化プライマーを用いることにより、アガロースゲルによる電気泳動でナス青枯病抵抗性に関する安定した遺伝子診断が可能となる。
  2. シークエンスゲルを用いたDIG-RAPD法による検出に比べて、検出に要する時間が短縮される。
  3. ナス青枯病抵抗性品種育成に当たり、抵抗性獲得体の遺伝子診断に活用できる。

図表1 219042-1.jpg
図表2 219042-2.jpg
図表3 219042-3.jpg
カテゴリ 青枯れ病 育種 診断技術 生物検定法 抵抗性 抵抗性品種 なす

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