タイトル |
極早生の酒米新品種「兵系酒65号」、「兵系酒66号」 |
担当機関 |
生物工学研究所 |
研究期間 |
1990~2001 |
研究担当者 |
吉田晋弥
三好昭宏
世古晴美
池上 勝
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発行年度 |
2001 |
要約 |
水稲「兵系酒65号」、「兵系酒66号」は、「兵庫北錦」より耐冷性がやや強く、収量性、品質がやや優れる極早生の酒米品種である。高温登熟条件下での乳白米の発生が少なく、酒造適性の評価も良好である。
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キーワード |
酒米、品種育成、極早生種、葯培養、兵系酒65号、兵系酒66号
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背景・ねらい |
本県北部で栽培されている「兵庫北錦」は、耐冷性が"極弱"で障害型冷害による不稔が発生しやすい。また、登熟期が高温の際は、乳白米の発生が多く、品質低下が著しい。さらに、心白が大きく、高度精米に適さないとの指摘がある。これらの点を克服するため、耐冷性が強く、高温登熟条件下でも品質が安定し、高度精米も可能な極早生酒米品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「兵系酒65号」は、1990年に「兵庫北錦」を母本に、「ひだほまれ」を父本に交配し、以後系統育種法により育成した品種である。「兵系酒66号」は、1993年に本県生物工学研究所で「兵庫北錦」を母本に、「吟の精」を父本に交配し、F1個体を葯培養し、以後、酒米 試験地で選抜を行い育成した品種である。
- 「兵系酒65号」は極早生の短稈偏穂数型で、耐倒伏性は"強"、葉いもち抵抗性は"強"、耐冷性は"弱"、穂発芽性は"易"で、収量性はやや高い。千粒重は25g程度で、心白の発現は多い。腹白米、乳白米の発生は少なく、品質は優れる(表1、表2)。
- 「兵系酒66号」は極早生の中稈穂数型で、耐倒伏性は"中"、葉いもち抵抗性は"強"、耐冷性は"やや弱"、穂発芽性は"中"で、収量性は高い。千粒重は27g程度で、心白の発現は多い。腹白米は多い。乳白米は少なく、品質はやや優れる(表1、表2)。
- 「兵系酒65号」は精米時間がやや長く、砕米率が低い。Brix、全糖が多く、カリ含量は少ない。消化残渣も少ない。「兵系酒66号」は精米時間がやや長く、砕米率は「兵庫北錦」と同程度である。フォルモール窒素含量、Brix、全糖はやや少なく、カリ含量は多い(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 熟期が極早生で、耐冷性は「兵庫北錦」より強いがやや不十分であるので、本県北部の平坦部~中山間地での栽培が適する。高冷地での栽培は避ける。
- 「兵系酒65号」は穂発芽しやすいので、適期収穫に努める。
- 「兵系酒66号」は、耐倒伏性が中程度なので 多肥栽培は避ける。
- 胴割米の発生を防ぐため、適期収穫に努めるとともに、急激な乾燥は避け、毎時乾減率は0.5%とする。
- 精玄米として調整する粒厚は、「兵系酒65号」は1.9mm、「兵系酒66号」は2.0mmを目安とし、良質化を図る。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
乾燥
酒造好適米
新品種
水稲
中山間地域
抵抗性
凍害
品種
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