タイトル |
土着寄生蜂の活動を活かした半促成トマトのマメハモグリバエ防除 |
担当機関 |
奈良県農業技術センター |
研究期間 |
1996~2001 |
研究担当者 |
井村岳男
松村美小夜
西野精二(近畿大学との共同研究)
福井俊男
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発行年度 |
2001 |
要約 |
マメハモグリバエの土着寄生蜂は、奈良県平坦部田園地帯では5月下旬から7月及び9月上旬に活発に活動している。半促成トマトでは、早春に生物農薬を少量放飼し、5月下旬以降は土着寄生蜂の活動を活かす体系で、マメハモグリバエ防除が可能である。
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キーワード |
マメハモグリバエ、寄生蜂、土着天敵、トマト、生物農薬、減農薬
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背景・ねらい |
マメハモグリバエには土着寄生蜂が多数存在し密度抑制に寄与しており、生物農薬利用時にも寄生蜂の発生が多く報告されている。これらの寄生蜂の活動がいつどのような条件で期待できるのかを明らかにする。また、春期における生物農薬の多数回放飼は過剰投資ではないかと考えられるため、生物農薬を少量放飼とし、土着寄生蜂の活動を活かす防除体系を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 奈良県の平坦部田園地帯ではマメハモグリバエの土着寄生蜂が5月下旬から7月(特に最盛期の6月)及び9月上旬に活発に活動している(図1)。
- 半促成栽培トマトでは、マメハモグリバエに対し、3月下旬から生物農薬イサエアヒメコバチ、ハモグリコマユバチを少量放飼(標準放飼量10a当たり各125~250頭を1週間間隔で2~4回放飼のところ、7.5a当たり各125頭の1回放飼)すると、遅効的ではあるが効果がある(図2)。
- 5月下旬以降はハウス内に土着寄生蜂が多く侵入し、マメハモグリバエの羽化率を低下させる(図3、図4)。
- 以上のことから、奈良県平坦部田園地帯の半促成栽培トマトでは、生物農薬を少量放飼とし、土着寄生蜂の活動を活かす体系で、マメハモグリバエの防除が可能である。
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成果の活用面・留意点 |
[成果の活用場面・留意点]
- 放飼のタイミング等により生物農薬による防除効果があまり高くない場合でも、5月下旬以降は土着寄生蜂による密度抑制が期待できる。
- 除草剤による雑草管理を行っている水田畦畔や市街地内の農耕地では、寄生蜂の種構成が貧弱になるが、同様の発生消長が見られ、活動が期待できる。
- 中山間部や林縁部では土着寄生蜂の発生様相が異なる。
- ハウスサイドに細かい目合いの防虫ネットを張っている場合や天窓換気では土着寄生蜂の侵入が阻害される恐れがある。マメハモグリバエが多発しており、土着寄生蜂を活用したい場合は、5月下旬以降ハウスのサイド部を開放する。周辺にヒラズハナアザミウマ等の発生源が多い場合は、防虫ネットや天窓換気を優先し、マメハモグリバエには生物農薬中心で対応する。
- 他の害虫発生時には寄生蜂に影響が少ない方法(オンシツコナジラミは生物農薬で、アブラムシ類はピメトロジン水和剤で、オオタバコガはBT剤で防除する等)で防除する。殺菌剤は影響が少ないものが多い。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
雑草
除草剤
水田
中山間地域
土着天敵
トマト
農薬
ヒラズハナアザミウマ
防除
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