タイトル |
クリ果実の温湯処理によるクリシギゾウムシの防除 |
担当機関 |
兵庫中央農技セ |
研究期間 |
2001~2001 |
研究担当者 |
廣瀬敏晴
|
発行年度 |
2001 |
要約 |
クリ果実を温湯浸漬により果実内温度50℃を30分間維持した後、水で冷やすとクリシギゾウムシ幼虫の果実からの脱出を防止する効果が高く、5℃で貯蔵すると26日後も果肉の変色や異臭がなく、味も変わらない。
|
キーワード |
温湯浸漬、クリシギゾウムシ、防除
|
背景・ねらい |
クリシギゾウムシの収穫後の防除法として臭化メチルによるくん蒸が実施されているが、臭化メチルは2005年に全廃されることになっているため、その代替技術の開発が急務となっている。そこで、代替技術の一環として温湯処理によるクリシギゾウムシの防除効果について検討する。
|
成果の内容・特徴 |
- クリの収穫果20果ずつを水洗し、ウォーターバスを使用して40~60℃の温度(果実内温度)の温湯に30~120分間(果実内温度維持時間)浸漬した後、水で冷やすと、50℃の温湯に30分浸漬した果実からのクリシギゾウムシ幼虫脱出率は0%(水浸漬:60~65%)で高い効果が認められる(表1)。
- 収穫果100果ずつを水洗し、パイプヒーターを使用して50℃の温湯に30分間浸漬した後、水で冷やすか自然冷却を行うと、幼虫脱出率は0~1%(水浸漬:66%)で高い効果が認められる(表2)。
- 品質への影響をみるため、20果ずつを供試して表3に示す処理を行い、5℃に26日間置いた果実を、無浸漬の果実と比較すると、果皮の色は変わらないが、60℃では果肉の変色、発酵臭が、55℃では異臭が認められる。しかし、50℃の場合には果肉の変色、臭いとも認められず、味も変わらない(表3)。
- 以上の結果より、クリ収穫果を温湯浸漬し、果実内温度50℃を30分維持した後、水で冷やすとクリシギゾウムシに対し有効である。
|
成果の活用面・留意点 |
- 温湯または水に浸漬した後、水滴がなくなるように洗濯機を使用して必ず脱水する。
- 水滴のついていない果実を50℃の温湯に浸漬した場合、果実内温度が50℃に達するまでに約20分を要する。
- 果実内の卵のふ化や幼虫の成長を抑えるため、収穫後できるだけ早く処理する。
- 温湯浸漬した場合、生産物として出荷する際にカビが生じにくいよう、脱水後には網袋にいれて日陰で1日干すなどして乾燥させる。
- 50℃でも異臭や味の変化がおこる可能性があるので注意する。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
カテゴリ |
病害虫
乾燥
くり
出荷調整
防除
|