タイトル |
鶏卵の卵白変性を指標としたトマト根腐萎凋病太陽熱消毒効果の判断 |
担当機関 |
広島農技セ |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
香口哲行
松浦昌平
渡部佐知子
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発行年度 |
2001 |
要約 |
太陽熱消毒における温度・期間とトマト根腐萎凋病菌数の推移をみると、菌密度が検出限界以下となる時期と、地表面に埋め込んだ鶏卵の卵白が白く変性する時期が一致し、鶏卵が処理終了時期判断のセンサーとして利用できる。
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キーワード |
トマト根腐萎凋病、菌密度、太陽熱、鶏卵、卵白変性
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背景・ねらい |
広島県島嶼部地域の促成トマト栽培におけるトマト根腐萎凋病の発生は、大きな生産阻害要因となっている。太陽熱消毒は有効な土壌消毒技術であるが、水の確保や被覆期間、作業の不手際等により処理効果が十分あがらない場合が多い。そこで、太陽熱消毒効果の簡易な判断手法を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 二重ビニールトンネル被覆では処理開始後10日間で深さ15cmの地温が45℃以上になる日が5日、40℃以上の日が10日認められる。一重被覆では45℃を超える日はないが、40℃以上の日が処理期間31日の内9日認められる(図1)。
- 土壌水分が高い条件では、トマト根腐萎凋病菌は地温45℃連続で5日で検出されなくなり、40℃連続では検出限界(4×10 CFU/g乾土)程度まで減少する。
- 二重ビニールトンネル被覆では、処理開始10日後に、一重被覆では、処理31日後に、地表から10cmまではnit変異トマト根腐萎凋病菌が検出されなくなるが、10cmより深くなると何れも31日後でも検出限界程度までしか減少しない(図2)。
- 鶏卵の卵白は、50℃では12~24時間で乳濁し始め、48時間以上で白く変性し流動性が失われ始める。55℃では3時間で乳濁し6時間で白く変性、24時間後には流動性が失われゲル状態となる(図3)。卵白は、間欠処理でも同等の積算時間で同じように変性する。
- 夏場の晴天日における地表面温度は、二重被覆では最高60℃に達し、地表面直下に埋設した鶏卵の卵白は、処理3日後から乳濁が始まり、10日後には全体が白く変性する。一重被覆では最高55℃になり31日後に卵白が白く変性する(写真1)。
- 以上の結果、卵白が白く変性する時期とトマト根腐萎凋病菌が検出されなくなる時期がよく一致し、鶏卵は、太陽熱処理の効果判定のためのセンサーとして利用できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 鶏卵は地表に隠れる程度に埋設する。
- 採卵後日数が経過(30日程度)したものでは、卵白が変性しやすいため、鶏卵はできるだけ新鮮な物を使用する。
- 極度の乾燥条件をのぞき、圃場容水量程度の土壌水分であれば変性に影響はない。
- 太陽熱消毒では土壌深度が深くなると完全には菌数が抑制されないため、栽培が長期間に及ぶ場合は、他の防除法と組み合わせる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
土壌消毒
トマト
鶏
防除
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