タイトル |
ピーマンのモザイク病抵抗性品種を侵す新発生トバモウイルスの性質 |
担当機関 |
高知県農業技術センター |
研究期間 |
1998~2000 |
研究担当者 |
竹内繁治
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発行年度 |
2001 |
要約 |
高知県に発生したトバモウイルス抵抗性ピーマンを侵すトバモウイルスは、P1,2,3型ペッパーマイルドモトルウイルス(PMMoV)で、抵抗性打破に関与する外被タンパク質のアミノ酸変異のパターンが異なる3つのウイルス株が存在する。
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キーワード |
ピーマン、トバモウイルス、抵抗性
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背景・ねらい |
トバモウイルスの一種であるペッパーマイルドモトルウイルス(PMMoV)は、ピーマンに甚大な被害を及ぼす病原として恐れられており、本県で育成されたPMMoV抵抗性品種には民間種苗会社で育成された品種とあわせて、栽培者から大きな期待が集まっている。ところが、これらの抵抗性品種を侵す新たなウイルスの発生が確認された。このウイルスが蔓延すると、これまでの抵抗性品種は利用価値を失うことも考えられる。 そこで、新発生ウイルスの性質を明らかにし、適切な防除対策を打ち立てるための基礎資料とする。
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成果の内容・特徴 |
- 抵抗性品種を侵す新発生トバモウイルスは、外被タンパク質のアミノ酸配列において既報のPMMoVとの相同性が高いことから、PMMoVに属すると判断される。また、L3遺伝子を持つCapsicum chinense に全身感染し、L4遺伝子を持つC. chacoense には局部感染することから、病原型はP1,2,3である。さらに、C. chinense に全身モザイクを誘導するタイプ(芸西株、土佐株)と、全身えそを誘導するタイプ(大方株)が存在する(表1)。
- これらのウイルス株を血清学的手法で既存のP1,2型PMMoVと区別することはできない。
- C. chinense に全身モザイクを誘導する芸西株と土佐株の外被タンパク質には、既に報告されているP1,2,3型PMMoVと同じアミノ酸変異が認められる。一方、C. chinense に全身えそを誘導するウイルス株(大方株)の外被タンパク質にみられるアミノ酸変異は、既報のP1,2,3型PMMoVとは全く異なる(表2)。
- これらのP1,2,3型PMMoVは、いずれも既存のP1,2型PMMoVと同様に土壌伝染と種子伝染し、伝染率に明らかな差は認められない(表3、表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 新発生ウイルスの性質が明らかになり、防除指導上の参考資料となる。
- P1,2,3型PMMoVの発生要因は明らかでないが、大方株タイプの一部は、同じ圃場内に抵抗性品種(L3/L+など)と感受性品種(L2/L+など)を混植した場合や、別圃場で抵抗性品種と感受性品種を同時に管理した場合に発生やすい傾向が認められている。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
抵抗性
抵抗性品種
ピーマン
品種
防除
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