水田地温の簡易推定に基づく被覆肥料の溶出予測

• 担当機関: 岡山農総セ
• 研究期間: 1998～2000
• 研究担当者: 森次真一; 石橋英二; 沖和生; 山本章吾
• 発行年度: 2001
• 要約: 気温、葉面積指数、日射量から水田地温が推定でき、それを用いて精度よく被覆肥料の溶出予測が行える。
• キーワード: 水田地温、推定、被覆肥料、溶出予測、葉面積指数
• 背景・ねらい: 被覆肥料を用いて水稲を全量基肥栽培する場合、その窒素溶出予測に基づいて品種、地域に適合した肥料を選択する必要がある。その際、地温データが必要であるが、地温データは日常的に観測されていない。そこで、地温を簡易に推定する方法を検討し、推定地温から被覆肥料の溶出予測を行う。

成果の内容・特徴

1. 地温を推定する際、変数は気温、葉面積指数（以下LAI）、日射量とした。
   
2. 植被が地温に及ぼす影響は、最高分げつ期以降に認められた。このため、移植期から最高分げつ期までと最高分げつ期から出穂期までの期間に分けて、日平均地温を従属変数、日平均気温、LAI、日射量を独立変数として重回帰分析を行い、パラメータを得た（表１、式１）。
   
3. 県内7地点において地温を推定した結果、地点全体の推定誤差RMSEは0.88℃、標準誤差SEは0.03℃であった（表２）。
   
4. 推定地温を用いて被覆肥料の溶出予測を行った場合は、予測誤差が数%と小さく、地点による差も小さかった（図１）。また、地温を気温で代用した場合は、予測誤差が大きく、特に水稲の生育初期に気温が低い地点では誤差が大きくなる傾向が認められた（図１）。
   
5. 推定地温による被覆肥料の溶出予測値は、実測値とおおむね一致した（図２）ことから、推定地温を用いて精度よく被覆肥料の溶出予測ができると考えられる。
   

成果の活用面・留意点

1. 地温推定期間は、移植期～出穂期である。
   
2. 地温推定式は、水の熱輸送を考慮していないため、漏水の激しい水田では適用できない場合があると考えられる。
   
3. LAIが測定できない場合は、草丈、茎数から推定する（式２）。
   
4. 被覆肥料の溶出予測は、反応速度論的解析によって得られた溶出特性値を使って行う。
   

• カテゴリ: 肥料 水田 水稲 品種 輸送