窒素の溶出・無機化推定による施肥設計支援システム

タイトル 窒素の溶出・無機化推定による施肥設計支援システム
担当機関 岡山農総セ
研究期間 1999~2003
研究担当者 森次真一
石橋英二
土井智津子
発行年度 2001
要約 被覆肥料・有機質資材等を用いた施肥設計に当たって、栽培期間中の地温を入力することにより、任意の複数肥料を組み合わせた場合の窒素溶出・無機化予測を行う。投入肥料・資材からの窒素肥効パターンを知ることにより、環境負荷の少ない施肥体系が構築できる。
キーワード 被覆肥料、有機質肥料、有機質資材、予測、速度論、施肥、環境
背景・ねらい 有機質資材の施用上の問題点は、その肥効速度を数量的に把握できないため、肥効不足を恐れて過剰施用になる傾向があることである。そこで、有機質資材及び被覆肥料からの窒素有効化速度を知ることができれば、速効性の化学肥料との組み合わせにより、多収穫で環境負荷が少なく、さらに塩基バランスやリン酸集積などの土壌成分の偏りが出ないような施肥体系の確立をはかることが可能となる。
成果の内容・特徴
  1. 施肥設計支援システムは反応速度論的解析で得た無機化・溶出特性値を用いて、市販の表計算ソフト(マイクロソフト社製、エクセル2000)で動作する。
  2. 有機質資材の無機化の反応速度式には有機・無機並行型を用いるのが適切であるが、実際に作物が利用できる窒素量の把握には特性値が少ない単純型で十分であると考えられ、有機無機並行型あるいは単純並行型は採用していない。
  3. 被覆肥料3種類、有機質資材3種類、速効性化学肥料2種類をそれぞれ組み合わせた推定が可能である。
  4. 入力データは地温、肥料・有機質資材の種類、施用量、施肥日および計算開始日である。肥料・有機質資材の種類は予め登録してあるものから選択する。その他は実数を入力する(表1)。
  5. 肥料や有機質資材の登録は、成分含有率および単純型で求めた無機化・溶出特性値を入力する。予め被覆肥料10数種類、有機質資材約10種類、速効性肥料5種類が登録してある。登録及び変更は利用者が登録用シートで自由に行う。
  6. 窒素の有効化パターンの推定結果は、施用肥料・資材を組み合わせた積算窒素供給量(無機化あるいは溶出した窒素の積算量、ただし速効性化学肥料はその全量が施肥後直ちに有効化するとした)および5日間積算窒素供給量として出力できる(図1,図2)。その他、各肥料、資材単独の5日間積算窒素供給率が同時に作成されるので、それぞれの肥料・資材からの窒素の供給パターンを比較できる(図3、図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 同様のシステムは既に市販もされているが、本システムは利用者が自由に各自の利用形態にあった形に改良できるようなシステムの開発を目指したもので、システムを単純化するためマクロは組み込んでいない。
  2. 地温は当農試内の黄色土露地畑で得た実測値を予め入力してある。利用に当たっては、利用者が施肥設計を行おうとする地点における施肥位置の地温を入力する必要がある。地温は入力用シートで日付と日平均地温をセットで入力する。
  3. 無機化・溶出特性値は土壌水分により変化する。登録してある特性値には畑状態と湛水状態で得られたものがある。特性値はまだ不十分であり、一定の条件にしか適用できないため、今後は各研究機関で得られた特性値を利用することによって汎用性が広がる。
  4. 本システムは希望者に提供可能であり、容量は約3.2MBである。
図表1 219114-1.jpg
図表2 219114-2.jpg
図表3 219114-3.jpg
図表4 219114-4.jpg
図表5 219114-5.jpg
カテゴリ 土づくり 肥料 施肥

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