タイトル |
近赤外透過式葉身窒素計による良食味米生産のための穂肥施用判定 |
担当機関 |
山口農試 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
久保喜昭(現経営普及課)
高津修治
平田俊昭
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発行年度 |
2001 |
要約 |
コシヒカリとヒノヒカリについて、米の食味と関連の高い玄米タンパク質含有率は幼穂形成期の葉身窒素濃度及び穂肥量との関係があり、幼穂形成期の近赤外透過式葉身窒素計の葉身窒素推定値から玄米タンパク質を抑えるための穂肥施用量を判定できる。
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キーワード |
近赤外透過式、葉身窒素計、葉身窒素、穂肥、玄米タンパク質
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背景・ねらい |
水稲の安定生産のために葉色板や葉緑素計による窒素栄養診断が行われているが、更に良食味米生産のために玄米タンパク質を抑えるための窒素栄養診断と追肥法が求められている。近赤外透過式葉身窒素計は葉色の計測器よりも窒素の測定精度が高いと思われること及び農業改良普及センターや農協で整備され始めたために、葉身窒素計を使った診断法を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 幼穂形成期の葉身窒素濃度と葉身窒素計値は、コシヒカリとヒノヒカリでそれぞれ高い正の相関がある(図1)。
- 玄米タンパク質含有率は、幼穂形成期の葉身窒素計値が高いほど高く、穂肥量(穂肥回数)が多いほど高まる傾向にある(図2)。
- 穂肥窒素施用量が0.4kg/a(穂肥2回)の場合、玄米タンパク質含有率はほとんどが7.5%を超える(図2)。
- 精玄米重は、穂肥無施用に比べて穂肥施用が高くなる。穂肥無施用の場合幼穂形成期の葉身窒素計値が高いほど精玄米重は高くなるのに対し、穂肥施用の場合幼穂形成期の葉身窒素計値と精玄米重の相関は認められない(図3)。
- 玄米タンパク質含有率の目標を7.5%以下にする場合、幼穂形成期の葉身窒素計値をコシヒカリでは3.2%、ヒノヒカリでは2.7%未満になるような生育前半の管理を行い、穂肥窒素0.2kg/aを1回施用する。葉身窒素計値がこの数値以上になった場合は穂肥を施用しない(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 葉身窒素計の測定は、株最長稈の完全展開第2葉中央部を葉身の中肋を境に左右2ヶ所、ほ場当たり20株以上を測定する。
- 現地に適応する場合、地域や移植時期の違いにより玄米タンパク質と葉身窒素計の関係が異なることがあるので、この関係を検証する。
- 葉身窒素計の穂肥施用判定基準は、品種及び地域の玄米タンパク質含有率や収量目標ごとに設定する。
- 登熟期の天候が悪い場合は玄米タンパク質が高まる傾向にあるので、穂肥施用量を少なくする。
[具体的デ-タ]
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
栄養診断
水稲
品種
良食味
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