タイトル |
莢乾燥による丹波黒大豆の経営モデル |
担当機関 |
京都農総研 |
研究期間 |
1998~2001 |
研究担当者 |
池内重樹
天野久
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発行年度 |
2001 |
要約 |
丹波黒大豆の乾燥作業において、自走式脱莢機と葉たばこ乾燥機を組み合わせた莢乾燥体系を採用すると、投資額は大きくなるものの常温定湿乾燥機を利用するよりも早期の出荷量が多くなり、高収益を追求する積極型の経営モデルとなる。
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キーワード |
丹波黒大豆、脱莢、莢乾燥、前進出荷、経営モデル
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背景・ねらい |
正月の煮豆用として年末需要が多い丹波黒大豆は、収穫後の天候が不順な年は乾燥が順調に進まず、出荷が遅れて販売単価と所得が低下する。このため、定置式脱莢機と常温定湿乾燥機を用いた莢乾燥を行うことによって、出荷の前進化が可能であるが、脱莢・乾燥処理量が限られており、早期出荷できる量が少なく所得の向上効果はあまり高くない。 そこで、早期出荷量が多く所得向上が見込まれる経営モデルとして自走式脱莢機と葉たばこ乾燥機の組み合わせを設定し、その経営評価を行う。対象とする担い手は20戸程度で構成される集落営農組織、規模は平均的な作付規模である2haとする。
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成果の内容・特徴 |
- 市販の定置式脱莢機HYM600AK-Cを中古の自脱型コンバインの走行部などの台車に登載することによってほ場内での脱莢作業が可能となり、収穫物の運搬や茎葉残さ処理の軽作業化と労働時間の短縮が可能となる(表1)。自走式脱莢機1台1日当たりの利用上限面積は20aである。
- 常温定湿乾燥機では3坪型で20a分0.6tの莢の張り込みが可能であるが、葉たばこ乾燥機では2.5坪型で60a分1.8tが張り込み可能となり処理量が増える。ライン作業を行うための自走式脱莢機と葉たばこ乾燥機の台数比は、常温定湿乾燥機使用の場合は1:1であるのに対し4;1となり、自走式脱莢機の追加投資が必要となる。
- 葉たばこ乾燥機利用による莢乾燥は、水分50%の豆を17%まで乾燥するのに10日で済み、常温定湿乾燥機利用の場合と同様に12月上旬に出荷が可能となる。脱莢可能な豆水分は、40~50%台前半であることから脱莢・乾燥作業は2回転できる(図1)。
- 自走式脱莢機と葉たばこ乾燥機を組み合わせた積極型経営(モデル2)の12月上中旬出荷率は、試算によると80%となり、自走式脱莢機と常温定湿乾燥機の組み合わせた堅実型経営(モデル1)の40%に比べて早期出荷率が高くなる(表2)。
- 純収益を見ると、モデル1で142千円となり慣行の-119千円やモデル2の-72千円よりより高くなる。モデル2は機械の投資額が大きくモデル1より純収益は低いが、需給が逼迫するなど12月上中旬の秀品単価がkg当たり250円上昇すると、純収益は364千円でモデル1より高くなり、高収益を追求する経営モデルとなる(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 農家段階での脱莢機の自走化への改良は難しくない。
- 葉たばこ乾燥機では莢の張り込み後2日間は常温乾燥、その後は25℃の加温乾燥とし、テンパリングのため昼間は適宜ダンパを閉じ、夜間は送風を停止した。
- 天日による予備乾燥が早く進む年は、両体系で乾燥の仕上がり日に差がない場合があり、莢乾燥体系は時雨が多い日本海側の産地に適した技術体系である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乾燥
経営管理
経営モデル
出荷調整
大豆
たばこ
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