タイトル |
地域特産野菜「水ナス」の需給構造の特徴と産地の課題 |
担当機関 |
大阪農技セ |
研究期間 |
1997~2001 |
研究担当者 |
原忠彦
内藤重之
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発行年度 |
2001 |
要約 |
大阪府泉州地域の特産野菜である水ナスは漬物加工品が全国的に消費されるようになり、生産も増大している。しかし、加工に適した高品質原料の安定供給が困難なため、施設栽培の拡大等による秀品率の向上と高温期の高品質生産技術の確立が必要である。
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キーワード |
地域特産野菜、水ナス、需給構造
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背景・ねらい |
消費者の多様化・本物志向の高まりとともに、近年地域特産物が見直されるようになっている。大阪府では泉州地域の特産野菜である水ナスの生産振興に力を注いでいるが、その流通実態は未解明である。そこで、水ナスの需給の特徴と産地の課題を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 水ナスは輸送性に乏しく、消費地域が限定されていたが、近年では漬物製造業者によって加工される割合が高まり、消費地域が拡大し、消費量も増大している。実態調査から推計すると、1999年度における水ナスの粗生産額は約13億円、水ナス及び水ナス漬の最終消費額は34~41億円とみられる(図1)。
- 近年における水ナスの需要拡大に対応して、新規生産者が増加するとともに、1戸当たりの栽培面積も1995年の9.8aから2000年の13.1aへと増加傾向を示しており、特に露地栽培の拡大が顕著となっている。水ナスは系統間・生産者間の品質格差が大きいだけでなく、天候や栽培管理による品質変動も大きく、品質のよい生産物の安定供給が困難な品目である。そのため、各農協は選別規格の統一、パート労働や選別機械の導入による共選への転換等、共販体制を強化している。
- 卸売市場における水ナスの取扱金額は市場規模よりも地域性との関係が深い。主産地である泉南地区のE・F・H・I市場の卸売業者は生産者から、その他の業者は農協からの集荷割合が高く、主に相対取引によって販売している(表1)。水ナスは品質によって分荷先が明瞭に分かれており、品質のよい大阪府産の上位等級品は主に漬物製造業者、品質の劣る大阪府産の下位等級品や他府県産は主に小売業者へ分荷されている。
- 漬物製造業者は水ナス漬の原料仕入に際して、特定の規格・等級であることや規格が揃っていることを重視している(図2)。多くの業者が漬物原料に適した高品質の水ナスを調達するために、多元的なルートを活用しているが、それでも安定仕入が困難な状況が続いており、とりわけ需要のピークを迎える夏場にそれが顕著となっている。
- 産地の最重要課題は施設栽培の拡大等により秀品率の向上を図るとともに、高温期における高品質生産技術を確立することである。また、固定的な取引では流通経費と資源の節約のために通い容器を導入すること、下位等級品の過剰生産が危惧されることから、新たな潜在的需要の掘り起こし等も重要である。
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成果の活用面・留意点 |
- 食品産業と連携した地域特産農産物の生産振興に活用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
加工
高品質生産技術
栽培技術
施設栽培
需要拡大
なす
輸送
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