タイトル |
ウメ生産農家の経営上の問題点と今後の意向 |
担当機関 |
和歌山農技セ |
研究期間 |
2000~2001 |
研究担当者 |
吉岡徹(大阪府立大学)
西岡晋作
大西敏夫(大阪府立大学)
辻和良
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発行年度 |
2001 |
要約 |
ウメ農家では、供給過剰に伴う価格低下が経営上大きな問題となっている。これに対し、多くの農家はウメの高品質生産や栽培規模拡大による対応を志向しているが、一部の農家は他品目への切り替えやウメの大量・低コスト生産による対応を志向している。
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キーワード |
農業経営、ウメ、栽培規模
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背景・ねらい |
ウメはこれまで、調味梅干等新商品の開発や健康志向に支えられ、順調に消費を拡大してきた。しかし近年、中国からの輸入増加や景気低迷等で価格が低下し、農家の収益性が低下している。そこで、ウメ経営の改善方策策定時の基礎資料とするため、ウメ生産農家の経営上の問題点と栽培面積・栽培管理に対する意向をウメ栽培規模別に明らかにする。ここでは、県内ウメ生産の中心地である南部町、南部川村、田辺市のウメ生産農家55戸に聞き取り調査を行い、ウメの栽培面積が150a未満の農家を「小規模層」、150a以上250a未満の農家を「中規模層」、250a以上の農家を「大規模層」として分析を行う。
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成果の内容・特徴 |
- 調査対象農家では、ウメの栽培面積が経営耕地面積の77%を占め、販売金額ではウメが全体の85%を占めている。また、ウメの栽培面積が大きい農家ほどウメに対する依存度は高く、大規模層ではウメが経営耕地面積の88%、販売金額の95%を占める(表1)。
- ウメ経営上の問題点では、「ウメの生産が過剰で価格が低迷している」、「輸入ウメの増加により国産ウメの価格が下がった」という回答が9割を超え、供給過剰に伴う価格低下への指摘が多かった。また、「ウメの生育不良問題が心配である」との回答はウメへの依存度が高い大規模層に多く、全体でも82%を占めた(表2)。
- ウメ栽培面積に対する今後の意向では、各階層とも6~7割が「現状維持」と回答しているが、「拡大したい」という回答も約3割と多い。また、規模拡大を志向する農家では、現在のウメ栽培面積が大きい農家ほど今後拡大を希望する面積も大きい(表3)。
- 一方で、小規模層ではウメ栽培面積を縮小したいという回答が約2割を占める(表3)。小規模層で縮小したいと回答した農家の経営主の年齢は39~40歳であり、専業農家または第1種兼業農家であることから、縮小した面積を耕作放棄することは考えにくい。また表1にみるように、小規模層は大規模層に比べてウメへの依存度がもともと低いことから、これらの農家はウメの収益性低下に伴いウメから他品目への転換を進めるものと思われる。
- ウメの栽培管理に関する今後の意向では、「より手間をかけて高品質なウメをつくる」との回答が半数を占めている。しかし、中・大規模層で約2割の農家が「今までより手間をかけない」と回答しており、その半数近くがウメ栽培規模拡大を志向している。これら一部の農家は大量・低コスト生産に向かうことが予想される(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- ウメ振興方策策定時の基礎資料として活用できる。
- 調査は2001年7~8月に行った。したがって、販売金額は2000年産の実績であり、調査時には青ウメ価格は前年の5割程度まで下落していた。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
うめ
規模拡大
経営管理
栽培技術
低コスト
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