大規模畦畔管理方法によって創出される山間地域水田の景観価値

タイトル 大規模畦畔管理方法によって創出される山間地域水田の景観価値
担当機関 広島農技セ
研究期間 1999~2001
研究担当者 諫山俊之
保科 亨
下澤秀樹
発行年度 2001
要約 山間地域水田の景観価値は、法面の管理方法によって異なる。慣行の草刈り管理と比べて、法面が荒廃すると54%に低下し、マルチ被覆のみでは71%に低下する。しかし、マルチ被覆とシバザクラ植栽を組み合わせると草刈り管理と同程度の景観価値となる。
キーワード 選択実験法、大規模畦畔管理、景観価値
背景・ねらい マルチ被覆とシバザクラ植栽を組み合わせた大規模畦畔管理技術は、急傾斜地域における圃場整備水田を対象に普及しつつある。しかし、本技術は慣行の草刈り管理による景観とは異なるため、景観価値が変化する可能性がある。そこで、広島県民を対象として、各管理方法が景観価値に及ぼす影響を明らかにする。ここでの景観価値とは、傾斜度1/20以上の山間地域水田(広島県全体の水田の32%)を保全するために人々が税金として支払っても良いと思う金額(Willingness to Pay、以下WTPと略)とし、評価手法は選択実験法を適用した。
成果の内容・特徴
  1. 広島県民を対象とし、NTT電話帳より600世帯を無作為に抽出して、郵送法によるアンケート調査を実施した。表1に示す対策案と増税額を設定し、対策案0と他の2つの対策案の3選択肢からいずれを選択するかを質問した。質問は対策案1~4を一対づつ比較できるように6回繰り返した。回収率は56.7%、有効回答率は47.2%である。
  2. NTT電話帳より標本抽出した場合、回答者属性が偏り、高齢者、男性、持家世帯、家族人数の多い世帯、農家の割合が高くなる。したがって、これらの標本抽出バイアスを修正するために、所得および属性変数には広島県全世帯の平均値を代入してWTP を推計した。
  3. 慣行の草刈り管理のWTPは94千円/世帯/年であるが、法面が荒廃すると51千円/世帯/年(対草刈り管理の54%)に低下する。マルチ被覆のみのWTP(67千円/世帯/年)は法面荒廃よりも高くなるが、草刈り管理の71%に低下する。しかし、マルチ被覆とシバザクラ植栽を組み合わせると、WTPは117千円/世帯/年となり、草刈り管理と同程度の景観価値となる(統計的有意差なし)(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 中山間地域直接支払い制度など、景観保全を目的とする政策を実施する上での参考となる。
  2. 今回のWTPの推定には有効回答データのみ用いたが、無回答者のWTPを0円であると仮定した場合のWTPは、表3の各WTPに有効回答率(0.472)を乗じることによって算出できる。
図表1 219148-1.jpg
図表2 219148-2.jpg
カテゴリ 傾斜地 畦畔管理 水田 中山間地域

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