タイトル |
モモ果実の日持性と窒素栄養状態の関係 |
担当機関 |
岡山農総セ |
研究期間 |
1997~2001 |
研究担当者 |
高野和夫
森次真一
山本章吾
|
発行年度 |
2001 |
要約 |
収穫時の果皮色が同程度でも果肉硬度は生産者により差があり、樹体内の窒素栄養が富む状態で栽培された果実ほど果肉の軟化が進行している。収穫時、果肉硬度が低い果実は、その後の軟化も早く、日持性が劣る。
|
キーワード |
モモ、日持性、クロロフィル、果肉硬度、葉中窒素、収穫
|
背景・ねらい |
生産地によりモモの日持性に差があることが市場から指摘され、日持性の向上が要望されているが、モモの日持性の差が何に起因するかは明確にされていない。そこで、施肥条件の異なる樹で生産された果実のクロロフィル含有量と果肉硬度の関係から、窒素栄養状態が果実の日持性に及ぼす影響を明らかにする。
|
成果の内容・特徴 |
- モモは成熟するにつれ果皮のクロロフィルが減少し果肉硬度が低下する。しかし、果肉硬度とクロロフィルの吸収領域である678nmにおける吸光度との関係は生産者により異なり、クロロフィルが多くても果肉の軟化が進行している果実や、クロロフィルが少なくても果肉が硬い果実が存在する(図1)。
- 生産者間差をより明確にするために、678nm吸光度がほぼ等しい果実を抽出し果肉硬度を比較すると、生産者により最大41Nの差が認められる(表1)。
- 678nm吸光度がほぼ等しい果実での生産者別果肉硬度と供試樹の窒素栄養状態との関係を解析すると、葉中窒素含有率が少ない樹で生産された果実ほど果肉が硬い傾向にある(図2)。
- モモ果実の近赤外線による内部拡散反射光測定時の最高電圧の経時変化をみると、果肉の軟化に伴い光透過性が増大し、最高電圧が上昇する。多肥栽培樹の果実は少肥栽培樹の果実に比べて、収穫時の最高電圧が高く、日持の限界と観察される最高電圧4Vに達する時期も速い(図3)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 窒素栄養が富む状態下で栽培された果実の軟化が、クロロフィルの減少より先行する理由としては、単にクロロフィルの減少が遅いだけでなく、果実への日照量の低下や、果実中の乾物率低下の影響も考えられる。また、果実中の窒素含有量の増加により軟化を促進する機構が存在するとも考えられ、今後検討を要する。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
施肥
もも
|