タイトル |
粉砕籾殻を利用した野菜の軽量育苗培地の特性と利用法 |
担当機関 |
広島農技セ |
研究期間 |
2000~2001 |
研究担当者 |
伊藤栄治
岡田牧恵
勝谷範敏
房尾一宏
北野剛志
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発行年度 |
2001 |
要約 |
粉砕籾殻とピートモスを容積比6:4で混合し、1リットル当たりの施肥窒素量を400mgとした培地の利用により慣行培地と同等の野菜苗を安定的に生産できる。この培地は慣行培地と比べ重量が33~63%と軽く、価格は1リットル当たり4~7円である。
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キーワード |
粉砕籾殻、野菜、軽量、育苗培地
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背景・ねらい |
大型経営体では、年間労力の有効利用や苗コスト低減の面から自家育苗が不可欠である。しかし、現在利用されている自作培地は組成が不安定で苗質が不均一になりやすい、土が主体なので重い、市販培地はコストが高い( 20~45円/l )等の問題点がある。 そこで、良質な苗を安く軽作業で生産することを目的に、軽量な粉砕籾殻を主体とした育苗培地の処方を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 軽量で安価な育苗培地には、粉砕籾殻(プレスパンダー膨軟加工)を主体として用いる。培地の組成(容積比)は、粉砕籾殻:ピートモス=6:4である。培地の理化学性は、pH 6.7、EC 0.5dS/mである(表1)。作成直後の三相分布(pF1.5)は固相8.9%、液相27.5%、気相63.6%である。易効性有効水は4.6%で、慣行培地に比べると保水力が小さい(図1)。培地重量(pF1.5)は慣行培地の33~63%、乾土重量は20~67%と軽量である(表1)。
- 本培地の肥料は、トマト、キュウリのポット育苗とキャベツのセル育苗には燐硝安加里と被覆燐硝安加里(40日)をトマトでは1:2、キュウリでは2:1、キャベツでは2:1の割合で混合して用いる。ヒロシマナのセル育苗には燐硝安加里のみを用いる(表2)。施肥窒素量は、いずれも 400mg/l で慣行培地と同等の苗生育が得られる(表2)。いずれも炭酸苦土石灰 2g/l とようりん 2.1g/l を添加する。
- 本培地で育苗した苗の生産性は、慣行培地で育苗した苗と同等以上である。トマト、キュウリでは総収量および可販果率が慣行培地に比べて高い(図2)。
- 培地価格は1リットル当たり4~7円である。
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成果の活用面・留意点 |
- 粉砕籾殻は過剰なカリ(484mg/100g)の除去のため、培地作成前に1か月以上野積みにして雨水にさらす。急ぐ場合は、籾殻分解時の窒素飢餓を防ぎ、塩基バランスを調整するため硫安 0.6g/l 、過燐酸石灰 1g/l 、苦土石灰 3g/l を添加する。保水性を向上させるためには2年以上野積みする。
- 本培地を利用したポット育苗では、培地表面はすぐ乾くが底面は乾きにくいため通常のかん水では徒長しやすい。低温期のかん水例として、トマトの11月育苗では鉢上げ直後にかん水し、次のかん水が19日後、その後は1週間おきでよい。
- 粉砕籾殻:ピートモス:パーライト=5:3:2でパンジーおよびペチュニアのポット育苗が可能である。この培地の理化学性は野菜用とほぼ同様である。肥料は、施肥窒素量を 960mg/l とし、被覆燐硝安加里(100日)と化学合成緩効性肥料を7:1の割合で混合して用いる。培地価格は1リットル当たり7~9円である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
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