タイトル |
伏見トウガラシ、万願寺トウガラシの青枯病抵抗性台木 |
担当機関 |
京都農総研 |
研究期間 |
1998~2000 |
研究担当者 |
吉川正巳
橋本典久
松本静治
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発行年度 |
2001 |
要約 |
京都府内トウガラシ産地に分布する青枯病菌には現行台木品種に対する病原性の差異から3種の病原性グループが存在する。各グループに対して「明石ピーマン」は強い抵抗性を示すことから伏見および万願寺トウガラシの青枯病抵抗性台木として有望である。
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キーワード |
伏見トウガラシ、万願寺トウガラシ、青枯病、抵抗性台木、明石ピーマン
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背景・ねらい |
京の伝統野菜である伏見トウガラシ、万願寺トウガラシは、京都府の園芸生産振興の重点推進品目として、中山間地域を中心に導入が図られてきたが、近年、連作により青枯病( Ralstonia solanacearum )が発生し、生産に支障を来している。その防除対策として、台木品種の導入等が図られてきたが、問題を解決するには至っていない。そこで本研究では、府内3地域合計9圃場から分離した青枯病菌株を現行の台木品種に接種し、府内のトウガラシ産地での青枯病の発生の様相を明らかにするとともに、現行の台木品種より青枯病に対する抵抗性が強い台木品種をトウガラシおよびピーマン各品種から検索する。
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成果の内容・特徴 |
- 京都府内のトウガラシ産地で現在、使われている台木品種(「ベルマサリ」、「ベルホマレ」)を判別植物として、各発病圃場から分離した青枯病菌株の中から、圃場ごとに任意に選出した1菌株合計9菌株の病原性を調査したところ、両品種に強い病原性を示すグループ(A)、「ベルマサリ」に弱い病原性を示し、「ベルホマレ」に強い病原性を示すグループ(B)、両品種に病原性を示さないグループ(C)に類別される(表1)。
- Aグループに属し、最も強い病原性を示すKP-9547株を検定菌として、市販および農業生物資源研究所ジーンバンク保存の合計37品種から青枯病抵抗性について幼苗検定した結果、冬季の選抜(一次選抜)では10品種が強い抵抗性を示し、青枯病の発病率が高くなり、選抜圧が強くなる夏季の選抜(二次選抜)では、「伏見甘長とうがらし」(T社、以下省略)、「明石ピーマン」(ACEE36269、以下省略)が、強い抵抗性を示す(表2)。
- 「伏見甘長とうがらし」、「明石ピーマン」はB、Cグループに属する青枯病菌株に対しても強い抵抗性を示す(表3)。
- 「伏見甘長とうがらし」、「明石ピーマン」を台木として用いた場合の青枯病に対する抵抗性を確認するために、罹病性品種「ベルホマレ」を穂木として両品種に接ぎ、その接木苗に青枯病菌(KP-9547株)を接種すると、「伏見甘長とうがらし」では、自根苗は強い抵抗性を示すが、台木として用いると罹病性を示す。一方、「明石ピーマン」では、自根苗、台木とも強い抵抗性を示す(表4)。
- 以上の結果から,伏見トウガラシ、万願寺トウガラシの青枯病に対する抵抗性台木として、「明石ピーマン」(ACEE36269)が有望である。なお、伏見トウガラシ栽培では、現行の在来系統に代えて市販の「伏見甘長とうがらし」(T社)を導入することにより、自根栽培が可能である。
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成果の活用面・留意点 |
- 「伏見甘長とうがらし」、「明石ピーマン」には、どちらも同名、類似名の系統が数種存在するが、青枯病に対する抵抗性の程度は系統により異なることが考えられるため、注意が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
青枯れ病
台木
中山間地域
抵抗性
伝統野菜
とうがらし
ピーマン
品種
防除
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