タイトル |
花壇苗における冷房育苗による発芽率および成苗率の向上 |
担当機関 |
和歌山農総セ |
研究期間 |
2001~2003 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2001 |
要約 |
夏季に育苗を行うパンジー等10品目の花壇苗において冷房育苗を行うと発芽率および成苗率が向上する。冷房育苗の効果は7月中旬から9月上旬播種までの作型において認められ、高温回避による安定生産が望める。
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キーワード |
花壇苗、冷房育苗
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背景・ねらい |
花壇苗における秋出荷のピークは10、11月であり、この時期の出荷を想定した場合、育苗時期が7、8月の真夏の高温期にあたる。一方、パンジーをはじめとする秋に出荷される花壇苗の多くは、冷涼な気候を好む。そのため、育苗期間中の高温下では苗の枯死や生育不良が起こりやすく、安定生産の大きな障害となっている。そこで、育苗施設内をクーラーを用いて涼温に保つ冷房育苗の導入を検討し、安定した育苗生産技術の開発に努める。
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成果の内容・特徴 |
- パンジー等10品目の花壇苗において冷房育苗(昼間〔午前8時~午後6時〕:25℃、夜間〔午後6時~午前8時〕:17℃を目標に管理)を鉢上げ時まで行うと催芽後の発芽停止や発芽後の生育不良が抑えられ、発芽率および成苗率が向上する。その効果は、特にパンジー、ビオラ、ダスティーミラーおよびプリムラにおいて高い。また、品目によっては冷房育苗を行うことで生育が促進され、成苗日(鉢上げ可能な大きさの苗となる日)が早くなる(表1)。
- パンジー等4品目において冷房育苗の効果は、7月中旬から9月上旬播種(この期間の試験年次における日最高および日最低気温の平均値はそれそれ34.7℃、23.1℃)の作型で認められ、成苗率が向上し、成苗日も早くなる。特にパンジーおよびビオラではこの期間を通して安定した効果を期待でき、高温が原因による生産ロスを大幅に削減できる。冷房育苗施設は約2ヶ月の間、その利用が有効であると思われる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 冷房育苗の利用により、その年の気象条件に左右されない安定した育苗が可能となり、計画的な苗生産が行える。
- 育苗施設内の遮光を行うと効率よく冷房できるが、遮光率が高すぎると苗が徒長するので注意する。
- 冷房育苗にかかるコストを低減するため、効率的な冷房育苗方法(冷房温度、冷房育苗期間等)については今後、検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
育苗
コスト
出荷調整
播種
パンジー
プリムラ
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