タイトル |
カンキツ新品種「紀秋早生」の特性について |
担当機関 |
和歌山農林水技セ |
研究期間 |
1986~2001 |
研究担当者 |
横谷道雄
岩本和也
山田知史
小沢良和
植田栄仁
森本純平
前田隆昭
中屋英浩
和中学
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発行年度 |
2001 |
要約 |
「宮本早生」の珠心胚実生から育成された「紀秋早生」は、樹勢が中程度で、減酸が早い極早生ウンシュウである。育成地では、9月下旬~10月上旬が収穫適期である。
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キーワード |
品種、育種、極早生ウンシュウ、珠心胚実生
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背景・ねらい |
早期出荷用極早生ウンシュウ「宮本早生」は、樹勢が弱く、また9月下旬~10月上旬出荷を目標とした場合は、年によって減酸が遅れ、出荷時期を遅らせなければならないことがあり、樹勢が強く、早熟性の極早生ウンシュウが必要とされていた。
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成果の内容・特徴 |
- 1986年、場内栽植の「宮本早生」に「アマナツ」の花粉を交配して得た珠心胚を、暖地園芸センターにて胚培養により9個体育成し、1988年場内27年生「林温州」に高接ぎした。1991年より樹体及び果実特性調査を行い、樹勢が強く減酸の早い3個体を選抜した。その後追加の4個体を含め苗木を育成し、日高郡川辺町内のほ場に1993年1年生苗木を定植、1995年より果実品質調査を行い、1998年に1個体を選抜した。2001年7月に「紀秋早生」として品種登録された。
- 「紀秋早生」は樹姿が開張で樹の大きさ及び樹勢は中、枝梢の長さは長、節間長はやや長である。葉の大きさは、「日南1号」に比べ小さい。トゲはない。
- 果実の形は扁平、果形指数は125~140でやや大、果実重は100g程度、着色は9月中旬から始まり、10月中旬頃完全着色する。果面の粗滑はやや滑、油胞の密度はやや疎である(表1)。
- 果実の糖度は9月下旬で8~9度、クエン酸は1%程度となる。同時期の「宮本早生」、「日南1号」に比較して、糖度は同程度であるが、クエン酸が低い。10月中旬には糖度9~10%、クエン酸は0.8程度と低い(表2)。
- 和歌山県内5園おける果形指数は、同一樹に高接ぎされた「宮本早生」と差はない。クエン酸は、9月20日時点で他に比べ明らかに低い(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 着色向上と増糖のため、日照条件や排水性が良好な園地で栽培する。
- 9月下旬に糖度9度以上、クエン酸1%程度を目標とする。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
あま
育種
栽培技術
出荷調整
新品種
高接ぎ
排水性
品種
その他のかんきつ
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