| タイトル |
養液栽培におけるナシ「ゴールド二十世紀」の主要肥料成分の吸収パターン |
| 担当機関 |
鳥取園試 |
| 研究期間 |
2000~2001 |
| 研究担当者 |
吉田 亮
山本匡将
村田謙司
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| 発行年度 |
2001 |
| 要約 |
ナシ「ゴールド二十世紀」の肥料成分吸収量は、各成分とも展葉とともに急激に増加する。カリウム、カルシウムは新梢伸長初期に、窒素、リン、マグネシウムは、新梢伸長、果実肥大の最盛期に吸収のピークを示す。冬~早春期の吸収量はわずかである。
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| キーワード |
ニホンナシ、ゴールド二十世紀、水気耕、肥料、吸収パターン
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| 背景・ねらい |
現在、本県のナシ栽培で慣行となっている施肥体系によれば、秋~冬期に年間窒素施用量の80%が施用されており、その多くが溶脱している。ナシ園への施肥に由来する環境負荷を低減するためには、肥料成分の流亡を低減する効率的な施肥法の確立が必要である。ナシ樹による年間の吸収パターンを明らかにすることにより、「ゴールド二十世紀」の適切な施肥時期・施肥量を検討する。
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| 成果の内容・特徴 |
- 5年生の「ゴールド二十世紀」6樹(平均樹冠面積2.3m2 )を、培養液循環式の水気耕法で栽培した。培養液の主要肥料成分濃度は、TN:46ppm,P2O5:19ppm,K2O:75ppm,CaO:44ppm,MgO:16ppmとした。この栽培法により、一般の土耕栽培に遜色ない品質の果実が生産できた(表1)。3~10日おきに培養液を更新し、残液の量と主要成分(N、P、K、Ca、Mg)の濃度を測定することにより、期間中の消費量を明らかにした。
- 培養液の消費量は、概ね気温、葉量の変化に伴った推移を示す。また、養液交換インターバルごとに細かい増減が見られるが、これは期間中の日射量が大きく影響する(図1)。
- 窒素の吸収量は、開花、展葉の開始(4月下旬)とともに急激に増加する。その後新梢伸長・果実肥大の最盛期(7月)にピークに達し、8月以降、葉数の減少に伴って低下する(図2)。
- リン、マグネシウムの吸収量は、春期の増加が比較的ゆるやかな推移を示す以外は、ほぼ窒素に準じたパターンを示す(図2)。
- カリウム、カルシウムの吸収量は、新梢伸長の初期(5、6月)にピークに達した後、漸減する(図2)。
- 各成分とも、吸収量のほとんどが着葉期間中に樹体に取り込まれる。このことから、施用した成分の肥効を生育(着葉)期間中に重点的に発現させることで、吸収の効率化を図ることが可能である。
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| 成果の活用面・留意点 |
- 基肥(冬期施用)主体の施肥体系を見直し、施用量を低減できる施肥体系の組み立てに活用する。
- 各成分の総吸収量(表2)については、土壌養液中より高濃度の培養液であるため、過剰に吸収される可能性があり、施用量の参考としては留意が必要である。
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| 図表1 |
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| 図表2 |
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| 図表3 |
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| 図表4 |
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| カテゴリ |
肥料
施肥
養液栽培
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