タイトル |
黒毛和種雌肥育における繋ぎ飼育の効果 |
担当機関 |
滋賀農総セ |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
鵜飼重明
清水信美
谷浩
富澤泰
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発行年度 |
2001 |
要約 |
黒毛和種雌肥育において、肥育全期間を通して繋ぎ飼育しても、通算の飼料摂取量や1日増体量および体高の伸びは、群飼育と比較して差はない。群飼育で肥育中に1日増体量が低い場合、繋ぎ飼育することにより改善する可能性がある。
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キーワード |
飼育管理、肉用牛、雌肥育、繋ぎ飼育
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背景・ねらい |
黒毛和種雌肥育の群飼育における技術的課題として、闘争性や発情発現による飼料摂取量の減退、他牛への乗駕や攻撃行動などがある。本県での黒毛和種雌牛の枝肉成績は去勢牛と比較し劣っており、その原因として、このような雌牛特有の問題点が考えられる。そこで、黒毛和種雌牛を肥育期に繋ぎ飼育することにより、物理的に他牛からの影響を少なくすることにより、発育や肥育成績への影響を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 肥育前期から肥育後期まで1頭ずつの繋ぎ飼育(繋ぎ区)、肥育前中期の群飼育後、肥育後期の繋ぎ飼育(群飼区1)および肥育前期から肥育後期まで群飼育(群飼区2)3区を設定し、肥育期の繋ぎ飼育の影響について、各区4頭を用いて検討する。試験期間は、前期20週間、中期40週間、後期36週間で、試験期間の平均月齢は、11.6~33.7カ月齢とし、平均と畜月齢は、34.7カ月齢とする。1頭当たりの飼養面積は、繋ぎ区は3.0m2 、群飼区1および群飼区2は5.6m2 とする。
- 繋ぎ区の発情兆候を観察した結果、兆候を示す牛の週当たりの頭数は、肥育後期は少なくなるが、肥育前中期では多く観察される(図1)。
- 肥育後期の粗飼料摂取量は、繋ぎ区と群飼区2間に1%水準で有意差がある。通算の濃厚飼料摂取量および粗飼料摂取量は、繋ぎ区と群飼区1、群飼区2に有意差はみられないが、バラツキは群飼区2が最も大きい(表1)。
- 群飼区1は、肥育中期の1日増体量が最も劣り、繋ぎ区と5%水準、群飼区2と1%水準で有意差がみられるが、肥育後期では改善される(表2)。
- 通算の1日増体量や試験終了時体重では、繋ぎ区と群飼区1、群飼区2に有意差はみられない(表2)。
- 体高の伸びは区間に有意差はみられない(表2)。
- 枝肉重量、胸最長筋面積、ばらの厚さ、皮下脂肪の厚さ、BMS No.、脂肪交雑等級、肉色・光沢等級、締まり・きめ等級、脂肪の質・色等級では、区間に有意差はみられない(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 黒毛和種雌肥育の群飼育では、肥育後期より肥育前中期で発情兆候を示す牛が多くみられるので、肥育成績に与える影響は大きいと考えられる。
- 黒毛和種雌肥育で肥育中期に増体が良くない群の場合、肥育後期に繋ぎ飼育にすることにより、1日増体量が改善する可能性がある。
- 黒毛和種雌牛を全肥育間中繋ぎ飼育しても、群飼育と比較して通算飼料摂取量、通算1日増体量、体高の伸びおよび枝肉成績は劣らない。
- 黒毛和種雌肥育での繋ぎ飼育は、1頭当たりの飼養面積として3m2 で可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肉牛
ばら
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