ウシ体外受精胚盤胞の発生日齢と超急速ガラス化後の品質との関係

タイトル ウシ体外受精胚盤胞の発生日齢と超急速ガラス化後の品質との関係
担当機関 兵庫中央農技セ
研究期間 1997~2001
研究担当者 柴谷増博
浜田由佳子
冨永敬一郎
発行年度 2001
要約 ウシ体外受精6日目、7日目及び8日目の胚盤胞をゲル・ローディング・チップを用いて超急速ガラス化すると、生存率は全ての日齢で高い。細胞構成において、ガラス化日齢によって凍結傷害の部位が異なる可能性が示唆される。
キーワード バイテク、ウシ胚、超急速ガラス化
背景・ねらい 受胚牛への胚移植においては胚盤胞が用いられているが、体外受精によって作出される胚盤胞は、受精6日目から出現する。そこで、ウシ体外受精由来胚盤胞の保存に、超急速ガラス化法を用いたときの胚盤胞の生存性ならびに生存した胚盤胞の品質を日齢別に調査する。
成果の内容・特徴
  1. 体外受精6日目、7日目及び8日目胚盤胞をガラス化保存した(図1)。超急速ガラス化方法のゲル・ローディング・チップ法(GL-チップ:Tominaga and Hamada,2001)を用いて、6日目ガラス化区、7日目ガラス化区及び8日目ガラス化区とした。
  2. ガラス化液として0.6Mスクロース+20%エチレングリコール+20%DMSOを含む20%血清加TCM199液を用い、GL-チップ内の細い管腔部分(約200μm)に胚とガラス化液を吸引し、液体窒素へ浸漬して保存した。融解は、37℃に加温した希釈液(0.25Mスクロースを含む33%血清加TCM199液)で行った。
  3. 融解後は20%子牛血清+100μMβ-メルカプトエタノール加TCM199を用いて1日間培養し、胞胚腔を再形成したものを生存胚として、生存率を調べた。また、生存胚の品質評価のために免疫蛍光二重染色法を用い、内部細胞塊細胞(ICM)数、栄養膜細胞(TE)数、総細胞数ならびにICM比率を計測し、比較した。
  4. ガラス化後の生存率は全ての日齢で高く、日齢間に有意差は見られない(P≧0.05 図2)。胚盤胞の細胞数では、6日目ガラス化胚の総細胞数とTE数は7日目新鮮胚と近似している(表1)が、ICM数は7日目新鮮胚よりも少ない。7日目ガラス化胚のTE数および総細胞数は8日目新鮮胚より少ない。しかし、ICM数には差は見られない。8日目ガラス化胚のICM数、TE数および総細胞数は8日目新鮮胚より増加しない。
  5. 以上のことから、超急速ガラス化は、6日目胚盤胞ではICM、7日目胚盤胞ではTEの増加が抑制される傾向があり、凍結傷害を生じる部位が異なる可能性が示唆される。GL-チップは管腔が細いため、8日目の拡張期胚盤胞のガラス化においては凍結時の物理的な傷害を受けたとも考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 体外受精由来胚盤胞の超急速ガラス化では、拡張胚盤胞以前の6日目・7日目胚の保存により、融解後に高品質の胚盤胞が得られる。
  2. ゲル・ローディング・チップを用いた超急速ガラス化法は、平成12年3月14日出願公開特許公報に掲載中。
図表1 219242-1.jpg
図表2 219242-2.jpg
図表3 219242-3.jpg
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