ストローカット法による牛初期胚のガラス化保存

タイトル ストローカット法による牛初期胚のガラス化保存
担当機関 徳農技セ畜産研
研究期間 1996~2001
研究担当者 笠井裕明
後藤充宏
福見善之
発行年度 2001
要約 斜めに切断した凍結用ストローの先端部分に、牛初期胚を含むガラス化液でドロップを作成し超急速に冷却すると、胚盤胞期以降に発育した胚で培養方法に依存しない高い生存率が得られる。また、この方法で保存したクローン胚を移植し生存産子を生産した。
キーワード 繁殖、ストローカット法、ガラス化保存、牛初期胚、生存率、妊娠
背景・ねらい 胚をストロー内に封入する従来のガラス化法は冷却速度が遅く、高い生存率を得るためにはある程度の経験が必要である。最近、極少量のガラス化液に胚を浸漬し、超急速に冷却保存する方法が開発されているが、ガラス化後の胚の取り扱いが煩雑である。
そこで、大量に作出されるウシ体外受精胚やクローン胚の保存方法として、さらに簡易的で再現性と生存性の高い保存技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. ガラス化液は、20%エチレングリコール+20%DMDSO+0.3mショ糖を含む3mg/ml BSA添加PBSを用いた。凍結は斜めに切断した凍結用ストローの先端部分に胚を含む凍結液1μl でドロップを作り開放状態で直接液体窒素中に投入して行った(写真1)。
  2. 体外受精胚を用いた発育ステージ別の生存率は、後期桑実期(CM)~初期胚盤胞期(eBla)(Ⅰ区)71.9%、胚盤胞期(Bla)(Ⅱ区)90.5%、拡張期胚盤胞期(ExBla)(Ⅲ区)92.6%であり、胚盤胞期以降で高い生存性を示した(表1、写真2)。
  3. 体外受精胚を用いた培養方法別の生存率は、マウス胎子線維芽細胞と共培養した区(10%FCS-199(MFF))93.3%、血清添加し非共培養した区(5%FCS-CR1aa)97.2%、無血清で非共培養した区(IVD101)90.5%であり、培養方法の影響を受けずに高い生存性を示した(表2)。
  4. 体細胞クローン胚をストローカット法でガラス化保存した結果、生存率82.5%、脱出率42.5%であった(表3)。
  5. ストローカット法によりガラス化保存したクローン胚を受胚牛に移植した結果、3頭中2頭が妊娠し、内1頭が241日目に流産、1頭が271日目に双子を分娩した(表4)。
成果の活用面・留意点
  1. フラクチャー傷害が発生する場合があるので注意が必要である。
  2. ガラス化保存胚を移植しデーター蓄積を図る必要がある。
図表1 219252-1.jpg
図表2 219252-2.jpg
図表3 219252-3.jpg
図表4 219252-4.jpg
図表5 219252-5.jpg
図表6 219252-6.jpg
カテゴリ 繁殖性改善

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