タイトル |
簡便で精度の高い反芻咀嚼行動計測システム |
担当機関 |
広島畜技セ |
研究期間 |
2001~2003 |
研究担当者 |
河野幸雄
新出昭吾
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発行年度 |
2001 |
要約 |
反芻家畜の頭絡に歪みストレインゲージを装着し、顎の動きを電気歪み値に変換し、咀嚼回数を長期に連続してデータ取得できる方法を確立した。さらに、採食行動、反芻行動を能率的に集計、解析する反芻咀嚼データ解析プログラムを開発した。
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キーワード |
飼養管理、乳用牛、ストレインゲージ、採食行動、反芻行動、咀嚼回数
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背景・ねらい |
反芻咀嚼行動の調査は飼料の物理的特性を判断するに有効であるが、咀嚼データの取得や解析に多大な労力を要する。反芻咀嚼行動の調査には、ニューモグラフの内圧変化を記録するダンブール法や、皮膚に電極を装着し筋電信号を記録するポリグラフを用いる方法、また、ビデオ撮影、直接観察などの方法がある。それぞれ利点や欠点を持つが、反芻家畜に外科的処置を施さず、簡便で精度が高く、能率的に解析できる反芻咀嚼行動の計測システムを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 咀嚼回数の調査方法は、ストレインゲージを厚さ0.3mmのステンレス板(1cm×4cm)に貼り付け(図1)、平型皮製頭絡の鼻梁前面にあたる部分に固定し(図2)、顎の動きによるストレインゲージからの電気歪み信号を有線でデータロガに取り込み、MO(640MB)記憶装置に取得する(図3)。
- ストレインゲージの離脱はなく、頭絡装着による飼料摂取量の低下などの影響は認められない。
- 測定条件は、データ取得間隔が200Hzで50ms間隔とし、電気歪み信号の取得範囲は4.0kμε~-1.0kμεとする。
- 採食、反芻および休息の3つの行動型への判別は明解である。また、飲水行動も判定できる(図4)。
- 反芻咀嚼データ解析プログラムは、50ms間隔で測定した電気歪み値を、CSVファイルデータに変換し、ピーク値を抽出する。このピークを1回の顎の動きとし、採食行動、反芻行動および一反芻期の判定は、表1の条件で行う(表1)。
- 電気歪み値のピーク値の度数分布を行い、正規分布から外れる歪みピーク値は電気的雑音(電圧変化、外部電波)あるいは異常行動として除外し、咀嚼回数を集計する。
- この手法を用いた結果、各行動とピークドットはよく一致し、すべての反芻行動のうち反芻行動として正しく自動判定された割合は97.7%の精度である(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- この方法により、6チャンネルで10日間以上の長期連続調査が可能となり、確実、迅速な、咀嚼回数の取得や反芻咀嚼行動のデータ解析ができる。
- 反芻行動は、日間変動、個体差の影響を受けるため、測定は3日間以上が必要である。
- 電気歪み信号の小型発信機を牛体に装着することにより、遠隔測定が可能になる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
飼育技術
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