タイトル | 新規参入における就農準備段階の問題点と就農後の経営課題 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
関野幸二 島義史 迫田登稔 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 新規参入は、地縁・血縁の有無や取り組む作目により、就農準備段階の問題点や就農後の経営課題が異なる。現地情報の入手方法、参入費用、支援方法などの違いから、農地や資金の確保、経営目標、計画の設計において新規参入者の負担に相違がみられる。 |
キーワード | 新規参入、地縁・血縁、経営課題、参入費用 |
背景・ねらい | 新規参入者の主体的条件は様々で、個別対応的な受入れ支援が行われているが、個々の問題に適切に対応されないケースもある。そこで、新規参入を地縁・血縁の有無と作目により、地縁・血縁あり土地利用型(以下、あり土地)、地縁・血縁なし土地利用型(同なし土地)、地縁・血縁あり施設型(同あり施設)、地縁・血縁なし施設型(同なし施設)の4つに類型化し、アンケート調査(対象:四国地域の新規参入者、有効回答数:38)をもとに、各類型の就農準備段階での問題点や就農後の経営課題の特徴を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 準備段階では、農地や資金の確保で類型間の差が大きい。なし土地は現地情報の入手が困難であり、農地情報の入手や適地選択に苦労している。施設型では関係機関の支援で農地と施設が一体的に取得されることが多く、農地取得は大きな問題になっていないが、地縁・血縁の有無で農地情報の入手や適地選択の苦労に差がある(図1)。 2. 資金確保では、就農前の住宅など生活条件の確保状況が異なるために、地縁・血縁の有無で大きな違いがあり、なし土地は自己資金準備が大きな負担となっている。また、施設型はハウス取得のための初期投資額が大きく、農地取得が比較的容易なあり施設では、資金準備の苦労が農地取得よりも高く評価されている(図1)。 3. あり土地は準備段階で農地や資金が比較的容易に確保されて経営を開始するが、就農後の生産面での技術向上は他類型同様に苦労する。また、準備段階から作付作物が想定されている施設型とは異なり、立ち上げ期から作物・品種の選択にも苦労している。一方、なし土地は参入費用の自己負担が大きいため、生産面の苦労の他に経営開始直後に運転資金不足に直面するが、その後資金面での問題は小さくなる(図2)。 4. 経営開始後、施設型では生産面以外の経営課題も多く抱え、就農後3年以上を経過して経営課題が就農直後より大きくなる傾向にある。特になし施設では、運転資金の確保、経営目標・計画の設計での苦労が就農直後より拡大している(図2)。 5. 以上より、新規参入支援では、就農準備段階において、特に地縁・血縁のない参入者に対する農地や住宅など現地情報の提供で改善が求められる。就農後は、土地利用型では、新規作物、品種導入と技術習得への支援、施設型では、資金管理をはじめとする経営設計への支援を経営展開にあわせて実施する必要がある。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 新規参入者に対する支援策を検討する際の基礎資料として活用できる。 2. 四国地域の新規参入事例を対象にしており、ここでの土地利用型は、露地野菜、果樹作が主部門の経営(野菜6、果樹6、その他2)、また施設型は、パイプハウスでの野菜、花き作が主部門の経営(野菜19、花き1、その他4)を指し、集約的作物が中心の経営である点に留意する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 経営管理 品種 |