ウシ子宮内膜組織におけるMx遺伝子の発現

タイトル ウシ子宮内膜組織におけるMx遺伝子の発現
担当機関 (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2000~2002
研究担当者 小松正憲
小島孝敏
大島一修
渡辺裕子(生研機構)
発行年度 2002
要約 発情周期および妊娠期のウシ子宮内膜において、抗ウイルスタンパク質Mxの遺伝子が発現している。その発現量は子宮内膜の部位や妊娠日齢により異なるが、特に着床直前期の子宮小丘部および子宮小丘部間部で高発現である。
キーワード ウシ、子宮内膜、Mx遺伝子、発現、着床直前期
背景・ねらい ウシ胚の着床および胎盤形成には種々の生理活性物質の関与が考えられており、抗ウイルスタンパク質Mxもその一つである。ウシMx1遺伝子には5'非翻訳領域および5'翻訳領域の異なる新規Mx遺伝子(Mx1B)を妊娠子宮から単離、その全塩基配列を決定し、Mx1の選択的スプライシングヴァリアント(タンパク質でいうところのアイソフォーム)であることを明らかにした。
そこでこの二つのMx1遺伝子について、発情周期ならびに妊娠期の子宮内膜においてどのように発現量が推移しているか測定することを目的とする。
成果の内容・特徴 1.
発情周期および妊娠初期から中期における黒毛和種雌牛の子宮内膜組織を子宮小丘部と子宮小丘部間部に分けて採材し、総RNAを抽出後、cDNAを合成した。各遺伝子の発現量は、TaqManプローブを用いたリアルタイムPCRを行って測定した。それを内部標準とするグリセルアルデヒドリン酸脱水素酵素(glyceraldehyde
phosphate dehydrogenase (GAPDH))遺伝子発現量で補正した。その結果、ウシMx1、Mx1B遺伝子発現は黒毛和種雌牛の発情周期から妊娠初期~中期における全ての子宮内膜組織で認められ、発現のパターンは全く同じである(図1、図2)。
2.
ウシMx1、Mx1B遺伝子はともに着床直前期である妊娠17、20日齢の子宮内膜で発現が増加し、以降減少する。子宮内膜の部位別に発現を比較すると、発情周期中および妊娠期にかけて子宮小丘部(および母体胎盤)より子宮小丘間部の方が高い傾向がある。発情周期中では発情日(発情周期0日)に比べて黄体期に高発現である(図1、図2)。
成果の活用面・留意点 MxはI型インターフェロンで誘導発現することが知られており、ウシMx1遺伝子も妊娠初期の胎子の栄養膜細胞が分泌するインターフェロン・タウに反応して急激に発現量が増加したと考えられる。子宮内膜組織のウシMx1遺伝子の発現量測定は初期妊娠時の母子間応答の一指標として有用である。
図表1 219302-1.gif
図表2 219302-2.gif
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