肉用牛周年放牧による農林地の保全

タイトル 肉用牛周年放牧による農林地の保全
担当機関 (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 1998~2002
研究担当者 小山信明
千田雅之
谷本保幸
発行年度 2002
要約 中山間地における肉用牛周年放牧は、農林地の省力管理と肉用牛生産の省力低コスト化に有効である。周年放牧による農林地保全が子牛生産を基礎として成立するには、子牛販売価格30万円の場合、分娩間隔16か月以内の子牛生産技術の習得が必要である。
背景・ねらい 中国中山間地域では、農業従事者の高齢化や野生獣害の多発により、農林地の保全管理が困難になっている。そこで、肉用牛放牧による農林地の保全管理システムを畜産農家のいない集落に導入し、その運営管理要件を明らかにする。また、周年放牧による肉用牛生産農家の飼養技術構造等を分析し、農林地保全のための肉用牛周年放牧が子牛生産を基礎に成立するための技術水準を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
肉用繁殖牛の放牧により農林地保全を行うには、放牧に対する地権者の合意形成、繁殖牛1頭当たり1.5ha以上の農林地(牧養力約250CD)の確保、電気牧柵等の放牧施設の設置、放牧に馴れた家畜の確保、日常の家畜観察管理体制の整備が必要である。さらに、経済性を高めるには、簡易牛舎の設置、貯蔵粗飼料の確保、子牛生産技術の習得が必要となる(表1)。
2.
K集落では、放牧開始時には放牧施設の設置、竹や雑潅木の伐採除去等に年間約1,200時間を費やしたが、基盤整備後の3年目には、年間約450時間の作業(内観察以外200時間)で、維持期の繁殖牛8頭の放牧飼養と12haの農林地の保全管理ができた。従来の人力除草作業723時間と比べて、放牧による農林地の管理は省力的である(図1)。
3.
約14haの農林地で繁殖牛を周年放牧する肉用牛生産農家(表2、B)は、慣行放牧の農家(A)に比較すると、1頭当たりの作業時間や経費が少なく、労働報酬は高い。また、労働時間が大幅に節減されるため、土地純収益はプラスであり、中山間地域の粗放的土地管理方式として、放牧利用は効果的である。
4.
周年放牧による農林地保全管理の労働報酬が、通常の賃金単価750円/時を上回るためには、子牛販売価格30万円の場合、分娩間隔16か月以内の子牛生産技術が必要である。18か月以上の分娩間隔を要する場合は、牛を保有せずに既存畜産農家の牛を100円/日頭で預かり放牧する方が経済的である(図2)。
成果の活用面・留意点 1.
農林地の保全管理が困難な中山間地域の農家や集落に活用できる。
2.
子牛生産を行う場合は、繁殖牛1頭当たり1.5haの放牧地のほかに、授乳牛や子牛用の稲わらや乾草を確保する用地が必要である。
図表1 219310-1.gif
図表2 219310-2.gif
図表3 219310-3.gif
図表4 219310-4.gif
カテゴリ 病害虫 管理システム 除草 中山間地域 低コスト 肉牛 乳牛 繁殖性改善

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