タイトル | 0.6mm目合いネットによるアブラナ科野菜害虫の侵入阻止効果 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
長坂幸吉 田中和夫 尾島一史 中川泉 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 0.6mm目合いの防虫ネット被覆はアブラナ科野菜を加害する害虫のほとんどに侵入阻止効果がある。しかし、アブラムシ類や孵化直後のチョウ目幼虫の侵入を完全に阻止することはできない。アザミウマ類、ハダニ類には侵入阻止効果はない。 |
キーワード | 防虫ネット、アブラナ科野菜、アブラムシ、アザミウマ、ハダニ |
背景・ねらい | 近畿・中国の中山間で野菜を生産する農家は環境保全型農業、特に無農薬・無化学肥料への指向が強い。そこで、露地の少量多品目野菜生産で重要なアブラナ科野菜の減・無農薬栽培の確立に向けて、プランター栽培のコマツナに対する0.6mm目合いの防虫ネットによる各種害虫侵入阻止効果とその限界を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 無防除状態のコマツナでは、モンシロチョウを主としたチョウ目害虫が個体数の36~52%を占め、最も多い(表1)。 2. 1mm防虫ネットによるハウス側窓被覆や長繊維不織布によるじかがけを行っている有機栽培圃場のコマツナ(周年栽培5年以上のハウス10棟)では、チョウ目害虫の侵入が阻止され、アブラムシ類が80~91%、コウチュウ目害虫が5~10%を占める(表1)。 3. 0.6mm防虫ネット被覆で完全に侵入を阻止できるアブラナ科野菜の害虫は、ダイコンハムシ成虫、ナガメ、ウワバ類(タマナギンウワバ等)、ハイマダラノメイガ、モンシロチョウ、ハモグリバエ類(ナモグリバエ等)、カブラハバチ類(カブラハバチ、セグロカブラハバチ)である(表2)。 4. 1%以下の侵入が見られるのは、キスジノミハムシ、ダイコンハムシ幼虫である。1%~5%程度の侵入が見られるのは、ニセダイコンアブラムシ、モモアカアブラムシ等のアブラムシ類およびコナガ幼虫である。10%以上の侵入が見られるのは、ヨトウ類(ヨトウガ等)幼虫である。侵入阻止効果が全くないのは、アザミウマ類(ネギアザミウマ等)とハダニ類(アシノワハダニ等)である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. この調査は地中から出現する害虫がいない条件で実施した。 2. 0.6mm防虫ネットは多くの害虫の侵入を阻止するが、わずかに侵入した害虫が内部で増殖あるいは成長し、大きな被害を及ぼすことがある。 3. 防虫ネットに作物が接するようになると、キスジノミハムシやコナガの侵入が増える。 4. 防虫ネットを効果的に利用するには太陽熱処理あるいは輪作等、他の防除技術と組み合わせる必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 有機栽培 肥料 病害虫 あぶらな 害虫 かぶ こまつな 少量多品目 だいこん 中山間地域 ねぎ 農薬 防除 輪作 |