タイトル | 茎頂培養によるザゼンソウの大量増殖法 |
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担当機関 | 滋賀農総セ農試 |
研究期間 | 2001~2002 |
研究担当者 |
森真理 大谷博実 北村治滋 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 滋賀県の環境保全群落の対象植物であるザゼンソウについて、茎頂をNAA 0.1mg/l とBA 1~5mg/lを加えたMS培地で培養すると多芽体が形成する。これを分割し増殖培養を繰り返すことにより種苗が大量増殖できる。 |
キーワード | ザゼンソウ、茎頂培養、多芽体、大量増殖、環境保全 |
背景・ねらい | ザゼンソウはサトイモ科の多年草で、山などの湿地帯に群生し、早春に開花する。滋賀県今津町のザゼンソウ群生地は国内の南限とされ、良好な自然環境を形成していることから、環境省の特定植物群落指定地や滋賀県の緑地環境保全地域に指定されている。しかし、近年、個体数が年々減少し、花の小型化も見られる。現状では、種子の確保が難しく発芽率も低いことから、組織培養による種苗の大量増殖法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. ザゼンソウは、茎頂をNAA 0.1mg/l、BA 1~5mg/l、ショ糖30g/l、ゲルライト3.5g/lを添加したMS培地に置床すると多芽体を形成する(表1,図1)。 2. 得られた多芽体を分割し、NAA 0.1mg/l、BA 1mg/l、ショ糖30g/l、ゲルライト3.5g/lを添加したMS培地に2~3ケ月毎に継代培養することで、大量に増殖できる(表1)。 3. 多芽体は、ショ糖30g/l、ゲルライト3.5g/lを添加したホルモン無添加のMS培地に植 え替えると、発根する(図2)。 4. 本培養法を用いると、1茎頂から約8ヶ月後に28本程度、約20ヶ月後に215本程度 の幼苗が増殖できる(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 培養の詳細は、当センターが2002年11月に発刊した「植物のバイオ実験マニュアル」および、当センターホームページ(http://www.pref.shiga.jp/g/nogyo/)に掲載している。 2. 置床時に雑菌が混入しやすいため、培養材料は、中性洗剤で10分以上、75%エタノールで5分程度、1%アンチホルミンで10分程度殺菌処理する。 3. ザゼンソウは、ホルモンに対する反応が鈍い。また、生育や発根は緩慢である。 4. 次年度以降、効率的な馴化法を検討する必要がある。また、培養による変異の有無を確認するため、現地での栽培試験を予定している。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 栽培技術 さといも |