タイトル | トウガラシの辛味遺伝子座に連鎖したDNAマーカー |
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担当機関 | 京都農資セ |
研究期間 | 1998~2002 |
研究担当者 |
稲葉幸司 南山泰宏 |
発行年度 | 2002 |
要約 | トウガラシの辛味遺伝子に連鎖したRAPDマーカーを得て、これをCAPSマーカーに変換した。このマーカーによりトウガラシの辛味遺伝子の有無を幼苗段階で容易に識別できる。 |
キーワード | トウガラシ、辛味遺伝子、DNAマーカー、RAPD、CAPS |
背景・ねらい | トウガラシ果実における辛味の発現は栽培環境の影響を強く受けるため、各個体の辛味の有無の判定には時間と労力を要する。トウガラシでは全ての品種が辛味遺伝子を持っているが、ピーマンでは辛味遺伝子が欠損しており、辛味発現の抑制は単一の劣性遺伝子により支配されていることが知られている。本研究では、全く辛味のない新たな‘万願寺’トウガラシの交配育種を効率的に行うため、辛味遺伝子座に連鎖したDNAマーカーの開発を行う。 |
成果の内容・特徴 | 1. 辛味を有するトウガラシ品種‘万願寺’、‘伏見甘長’と辛味の無いピーマン品種‘とんがり’のF2集団を用いて辛味遺伝子に連鎖したRAPDマーカーを選抜する。このDNA断片をクローニングして塩基配列を決定し、特異的に増幅するプライマーペアを設計する。この特異性プライマーペアを用いて増幅したDNA断片を制限酵素Mbo Iで切断したところ、新品種間で多型が検出でき、共優性のCAPSマーカーができる(図1)。 2. 2組のF2集団で辛味の表現型とCAPSマーカーの分離を調査したところ、CAPSマーカーは辛味の遺伝子座と10cM以下で連鎖しており、辛味遺伝子の連鎖マーカーとして利用できる。(表1)。 3. エドワード法等によりトウガラシ幼苗の葉から簡易抽出したDNAを用いて、特異的プライマーペアにより増幅したPCR産物をMbo Iで切断した後、アガロースあるいはアクリルアミドゲル電気泳動により分離したバンドパターンにより、辛味遺伝子の有無およびホモ・ヘテロを識別することができる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 辛味遺伝子に連鎖したRAPDマーカーは、再現性が低くDNAマーカーとしての利用は困難である。 2. このCAPSマーカーは Capsicum annuum L.に属する品種に適応可能と考えられるが、辛味の有無と多型のパターンは品種の組み合わせによって変化することがある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 育種 新品種 DNAマーカー とうがらし ピーマン 品種 |